平成29年度は,はじめに,「切り替え表示に用いる2色の選定方式」(平成28年度に選定アルゴリズムを提案)の有用性を検証するため,(a)明るさの異なるグレー15色,(b)明るさおよび色相の異なる有彩色210色をそれぞれ再現対象色とし,再現対象色毎に選定された2色を切り替え表示したときに現れる色を計測した。その結果,切り替え表示によって現れる色と再現対象色の色度はほぼ同一であることが認められ,「切り替え表示に用いる2色の選定方式」の有用性が示された。即ち,本研究で用いた実験環境下では,LCDで表示可能な約16万色のうち,白,黒,赤,緑,青,およびこれら5色に近い色を除いた色を,切り替え表示処理によって再現可能であることが明らかになった。 次に,画像内にメタデータを埋め込むための処理を作成した。具体的には,オリジナル画像にマスク処理を施して文字の形に領域を抽出し,領域内の各画素の色を「切り替え表示に用いる2色の選定方式」により2つ分け,2枚の画像を作成するプログラムを作成した。この処理により,著作権情報などを示す任意の文字を,画像内に埋め込むことが可能になった。 最後に,継時加法混色を利用したメタデータの埋め込みによる画像の保護効果を確認するため,メータデータの埋め込まれた2枚の画像をLCD上で144Hzの速度で切り替え表示し,デジタルカメラを用いて異なるシャッタースピードで撮影した。その結果,画像の切り替え速度を上回る速さのシャッタースピードで撮影された画像には,色改変処理によって埋め込まれたメタデータが写り,画像の保護効果を得られることを確認した。
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