研究課題
平成29年度は、以下の各課題に取り組んだ。(1)移動体管理に適した空間索引構造の検討:静的なオブジェクトの索引構造としては、従来よりR木が用いられてきた。しかし、扱う対象が動的なものの場合には、R木の管理負担が増大する。これはR木のノードに置かれているMBRをデータが動く都度修正する必要があるためである。一方、空間オブジェクトの索引構造としては、グリッドファイルや領域分割型4分木構造も用いられてきた。これらは、R木に比して検索性能は低下するものの、動的管理性能には優れている。本研究では、移動体があらかじめ設定された範囲から外れるたびにサーバに対して位置を更新するモデルを想定し、これらの空間索引構造の性能比較を行った。(2)旅行計画問題における高速提案検索方式の提案:LBSにおいては、空間的な近接性に基づく検索が主となる。一方、最近ではレストラン、ホテルなどの検索対象がWeb上でユーザーから評価されており、その評判尺度で上位のものを検索したいという要求も多い。この場合には、地物までの距離と評判の2つの尺度による検索を実行することになる。このように、評価尺度が複数の場合には、それぞれの尺度での評価値に重みをつけて単一の評価値を得ようとするTop-k検索と、検索者に興味のない対象(それぞれの評価値で他より優れている点がないもの)を削除し、何らかの尺度で優れているもののみを検索者に提示するSkyline検索がある。本研究では、旅行計画に対してこれらの提案型検索を高速に実行し得る検索方式を提案した。(3)多様な近傍検索に対するsafe-region高速構築方式に関する研究:集合kNN検索、順序kNN検索、逆kNN検索、範囲検索など、空間的な近接性に注目した連続検索のためのsafe-region高速生成方式を対象として、アルゴリズムのさらなる改良を行った。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: 101-A ページ: 472-480
10.1587/transfun.E101.A.472