| 研究課題/領域番号 |
15K00150
|
|---|
| 研究機関 | 福井大学 |
|---|
研究代表者 |
吉田 俊之 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (50240297)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
| キーワード | 動画像符号化 / 4K動画像 / 時空間画質 / MOS / 画質制御 / レート制御 |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究では，4K動画像の主観画質を最大化する符号化法とその時空間レート制御の実現を目指し，申請者が過去に確立した「主観評価値の推定値を最大化する符号化法」を4K動画像に拡張することにより，同手法の確立を目的とする．
平成28年度は，前年度までに確立した時空間のEMOS推定法を利用して，対象動画像および与えられたビットレートに対してEMOSが最大となる「フレーム当たりの平均ビット量」，および「単位秒当たりのフレーム数」をシーン単位に推定し，その下で符号化する手法を確立すると共に，HEVC符号化器上に実装することを当初計画としていた．前年度に得られた時空間のMOS推定式のうち，特に時間方向の推定法については，推定誤差が目標値よりも若干大きい問題が残されていた．
そこで平成28年度は，(1) 時間方向のEMOS推定法の精度改善，(2) 1点のRD計測に基づくRD曲線（PSNR）の予測法，(3) 時空間アクティビティに基づく対象動画像のシーン分割法，(4) シーン単位でのEMOS最大化符号化法の確立とHEVC符号化器への実装．について検討を行なった．
その結果，(1)については前年度の予測誤差を下回る予測法が得られ，(2)についてはMOS予測誤差の観点から十分な精度を与える手法が確立できた．これにより，対象動画像に対する1点のRD計測と特徴量の抽出により，時空間EMOSを推定可能な手法が確立された．(3)については，抽出された特徴量の変動に基づいて区間分割を行なう手法を確立した．最後の(4)については，分割されたシーン単位にEMOSを最大化して符号化する手法を検討し，HEVC符号化への実装を行なった．(1)～(3)については所期の成果が得られる一方，(4)のHEVC符号化器への実装については現在も継続して作業中で，平成29年度の早い段階で完成する予定である．
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画で挙げた(2)～(4)，および前年度の課題に対して再検討を行なった(1)のうち，(1)～(3)の課題については計画通りに進んでいる．一方の(4)については，HEVC符号化器への実装を継続中で，平成29年度の早い段階で完成する予定である．以上より，本研究については「おおむね順調に進展している」と判断した．
|
| 今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たる平成29年度は，まず前年度から継続しているHEVC符号化器への実装を早期に完了した後，これを用いて複数の試験画像を定ビットレート符号化し，従来のフレームレート固定の符号化法と比較して提案手法の優位性・有効性を検証する．
また，4K動画像における時空間アクティビティの変動は低解像度の画像と比較して大きく，一定のEMOS（画質）を与えるビットレートはシーン間で大きく変動するため，定ビットレート符号化ではシーン間の画質変動は非常に大きくなる．これを抑えるため，申請者が過去に提案している大容量バッファを用いた画質平坦化手法を適用し，4K動画像に対して平均ビットレート一定の下で定画質符号化を実現する手法を検討する．
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
概ね計画通りに使用したが，端数分が次年度使用額として生じたため．
|
| 次年度使用額の使用計画 |
平成２９年度は論文の投稿料が発生する予定で，次年度使用額をその一部に充てる予定である．
|
