研究課題/領域番号 |
15K00151
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
栗山 繁 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20264939)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 画像検索 / 作画スタイル / イラスト画像 / Fisher Vector / 画像特徴分類 |
研究実績の概要 |
作画のスタイルを効果的に捕捉できる特徴量を、イラスト画像を分割した局所的なブロック領域から自動抽出する手法を開発した。具体的には、各ブロック領域で計算したテクスチャとカラーの特徴量群から語彙を混合ガウス分布モデルで抽出し、その語彙辞書を用いた Fisher Vector を計算して高次元の特徴量を得た。さらに、特徴量の疎性を考慮した正規化を用いた後、主成分分析に基づく線形次元削減と多様体学習に基づく非線形の次元削減法を逐次適用し、識別性能の向上を図った。 スタイルのラベルが付与された4,591枚のクリップアートの画像群を用いて検索機構を平均適合率により評価した結果、本手法で算出した特徴量による検索精度(0.62)は既存の最先端手法の精度(0.38)を大きく上回った。この研究成果を国際ワークショップで口頭発表した結果Best Paper Awardが授与され、電子情報通信学会論文誌にも採録された。さらに、本研究の成果につながった先行研究も情報処理学会論文誌に掲載され、2015年度の情報処理学会論文賞が授与された。 また、イラスト画像群を先行研究の手法に基づいて実時間ランキングするシステムを開発した。このシステムは、ポータルサイトからキーワード検索でダウンロードしたイラスト画像群に対してスタイル特徴量をオンラインで計算し、クエリとして与えた画像と類似のスタイルをランキング表示する。これには、高位にランキングされる画像を段階的に絞り込んで識別精度を維持しながら計算を高速化する機構を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
国内で著名な学会の論文誌(情報処理学会、および電子情報通信学会)に2件が採択され、その中の1件は当該年度における最優秀な数件の掲載論文に授与される論文賞(2015年度情報処理学会論文賞)が授与された。また、関連する国際ワークショップ(Content-Based Multimedia Indexing 2015)で最優秀の発表論文1件にのみ与えられる Best Paper Award が授与された。これらの業績は、当初の計画をはるかに上回るものであると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
イラスト画像をスタイル特徴に基づきセグメンテーションし、スタイルが異なる局所的な領域を分離して識別に利用する手法を開発する。この手法を用いて、描画スタイルの部分的な解釈とその位置的構造や関係を考慮した、柔軟かつ高度な検索機構を構築する。 また、イラストを使用するコンテンツの伝達内容や文脈に沿ったスタイルの分類基準を対話的に調整するために、スタイル特徴の距離空間をオンライン学習を用いて最適化する機構を検討する。
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