研究課題/領域番号 |
15K00151
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
栗山 繁 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20264939)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | スタイル特徴量 / イラスト画像 / 色彩理論 / 画像セグメンテーション / 画像検索 |
研究実績の概要 |
イラスト画像のスタイル特徴を部分的に抽出して識別させる機能として,初年度に開発した局所領域ごとのスタイル特徴に基づく,画像の部分領域の切り取り(セグメンテーション)の手法を開発した.これには,既存のクラスタリング手法である Super Pixel 法と DB Scan 法を組み合わせてスタイル特徴量を適用し,検索システムの実装を通した実験によって,描画や画風のスタイル特徴が連続的に分布する部分領域を分割できることを確認した.この手法により,スタイル特徴の部分的な指定を用いたイラスト画像のランキングが可能となり,画像検索機能の拡充に役立てられるものと考えられる. もう一つの研究成果として,スタイルの色特徴を色彩理論に基づく特徴量へと拡張する手法を考案した.この研究では,イラスト画の配色規則に関する,Practical Color Coordinate System と呼ばれる色彩理論をスタイル特徴量に導入した.その理論でトーンと呼ばれる色調の値によって色のスタイル特徴を算出する方法を考案し,既存の手法と同等の識別性能を維持したまま,異なる色相で構成される色スタイルの画像群を識別できる機能を実現した.これにより,色彩理論を取り入れたスタイル識別・検索の可能性が示唆され,新たな画像検索サービスのみならず,イラスト画像の色の自動調整や編集へと繋がる技術基盤に貢献ができた.この成果は,情報処理学会のコンピュータグラフィクスとビジュアル情報の研究会で口頭発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の申請時において,以下の4項目を目標として掲げた: 1. 局所的な作画特徴に基づくスタイル辞書の構築とデータ次元削減によるスタイルIDの生成,2. 心理実験によって付与された複数のスタイル属性を伝播させる半教師あり多ラベル学習,3. 対話的な画像編集のためのスタイル特徴の概念的要約と可視化,4. イラストと自然画像や書体のスタイル間での異種コンテンツ横断的な適合性の判定 上記 1. および 2. の目標に関しては,初年度に達成した関連内容の発表に対して関連国際会議での Best paper award や国内学会(情報処理学会)での論文賞が授与される等,国内外で高い評価を既に受けており,十分な成果を達成できたと判断できる. 3. の目標に関しては,概念的な要約として色のスタイル特徴として色彩理論を導入することができたが,その他の形状等のスタイル特徴に関しては,未だに良い手法が考案されていない.しかし,スタイル特徴に基づく画像セグメンテーションの手法を開発することにより,対話的な編集機能としての基盤技術には貢献できたと判断する. 最も挑戦的な 4. の目標に関しては未だに多くの課題が残されており,現状では達成の見通しが立っていない.ゆえに,この目標の代わりとして,スタイル特徴に基づく画像の識別手法を適応的な自動変換手法へと発展させ,これまでに開発した技術と統合させて,より有用性を高められる技術の開発へと方針転換する.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度においては,イラスト画像のスタイルに基づく検索だけでなく,新たに開発した色特徴量や識別結果を活用したイラストの自動編集および変換機能の考案し実際のシステムとして稼働させ,その性能評価実験を実施する予定である.
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