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2015 年度 実施状況報告書

時分割表示方式電子ホログラフィの実時間3次元動画像再生とソフトウェア調整の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K00153
研究機関高知大学

研究代表者

高田 直樹  高知大学, 教育研究部自然科学系理学部門, 准教授 (50290713)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード電子ホログラフィ / 三次元動画像再生 / 計算機合成ホログラム / Graphics Processing Unit / 時分割表示 / リアルタイム処理 / 高性能計算 / 並列分散計算
研究実績の概要

ホログラフィは,三次元物体からの光の波面を忠実に記録・再生できる唯一知られた技術である.ホログラムはコンピュータ上で作製することも可能であり,これを計算機合成ホログラム(CGH)と呼ぶ.CGH による三次元動画像再生技術(電子ホログラフィ)は,究極の立体テレビになると考えられている.
本研究では,コストパフォーマンスに優れた時分割表示方式電子ホログラフィのリアルタイム再生を中心に扱う.GPU クラスタによる計算高速化にとどまらず,時分割表示による残像効果を利用して,さらなる高速化を実現させる.また,時分割表示方式のリアルタイムカラー再生は単色よりも3倍高速である必要があり容易ではない.本研究では高速なネットワークとGPU クラスタを用いてリアルタイム再生を実現する.さらに,ソフトウェアによる再生像の色調整を実現し,多色化を目指す.
本年度は,最新のGPU(NVIDIA GeForce GTX TITAN)を13枚搭載したGPUクラスタ電子ホログラフィシステムを構築した.CGH計算を行なうクライアントと, 計算後のCGHを表示するサーバからなる.クライアントは4ノードからなり,各ノードに3枚のGPUを搭載する.クライアントで計算されたCGHをサーバに転送し,サーバでそのCGHを空間光位相変調器(SLM)上に表示し,空中に三次元動画像を再生する.約10万点からなる三次元物体の動画を1秒間に約30フレームの速度で再生することに成功した.実効速度は約40 TFLOPSを達成し,CPU (Intel Core i7 4770 )に対して約3千倍の高速化を実現した.また,GPUクラスタを用いた時分割表示方式カラー電子ホログラフィシステムも構築した.さらに,時分割表示方式電子ホログラフィにより,100万点からなる三次元物体の静止画像の画質向上に成功した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画通り,大きな問題もなく順調に研究を進めることができた.
本研究で開発したNVIDIA GeForce GTX TITAN X を13枚搭載したGPUクラスタシステムでは,約10万点からなる三次元物体のリアルタイム再生を実現することができた.実効速度においても約40 TFLOPSを達成した.これまで使用していたGeForce GTX 680を10枚搭載したGPUクラスタシステムに比べて約4倍の計算高速化を実現し,十分な成果を得ることができた.本研究の計画を立てていたときには, GPUクラスタシステムに時空間分割法を適用することで約10万点からなる三次元物体のリアルタイム再生を実現する予定であった.しかし,当初想定していた計算速度の2倍以上の速度を達成することができた.また,本研究で開発したGPUクラスタに時空間分割法を適用すると約40万点からなる三次元物体のリアルタイム再生が可能であることがわかった.
時空間デジタル・ミラー・デバイスを用いたリアルタイム時分割表示方式電子ホログラフィについても予定通り検討することができた.さらに,本研究の計画を立てていた時点で平成28年度以降を予定していた時分割表示方式カラー電子ホログラフィの開発と,時分割表示方式カラー電子ホログラフィにおける色調整可能なソフトウェア開発に着手することができた.また,時分割表示電子ホログラフィによる画質向上を実現できるなど,計画以上に進展することができた.

今後の研究の推進方策

平成27年度において,当初想定していた計算速度を2倍以上の速度を達成するGPUクラスタシステムを構築することができた.当初想定していた速度を上回る計算性能であるため,本GPUクラスタシステムにより時分表示方式カラー電子ホログラフィを実現することは可能であると考えている.しかし,平成27年度に開発したプロトタイプでは,光学系において光源にLEDを使用していたため,鮮明な再生像を得るまでには至らなかった.そこで,光源をレーザーに代えた光学系を構築する.光源の色と,それに適したCGHの表示が同期しなければならない.そのため,液晶シャッターを用いた光源切り替え装置も併せて開発する.また,3つのLCDパネルを用いた光学系によるカラー電子ホログラフィについても構築する.
また,時分割表示方式カラー電子ホログラフィにおける色調整可能なソフトウェア開発と,デジタル・ミラー・デバイスを用いたリアルタイム時分割表示方式電子ホログラフィの開発についても引き続き行う.

次年度使用額が生じた理由

当初の計画で購入予定であった空間光位相変調器を変更したことと,レーザーシステム及び光学部品の購入を次年度に変更したため.

次年度使用額の使用計画

レーザーシステムとそれに必要となる光学部品,GPUの購入を考えている.また,学会発表の参加費と旅費,論文投稿料に使用する予定である.

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2015 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Real-time time-division color electroholography using a single GPU and a USB module for synchronizing reference light2015

    • 著者名/発表者名
      H. Araki, N. Takada, H. Niwase, S. Ikawa, M. Fujiwara, H. Nakayama, T. Kakue, T. Shimobaba, T. Ito
    • 雑誌名

      Applied Optics

      巻: 54 ページ: 10029-10034

    • DOI

      10.1364/AO.54.010029

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Image Quality Improvement of Electroholography by Using Spatiotemporal Division Method2015

    • 著者名/発表者名
      Y. Maeda, N. Takada, H. Niwase, H. Araki, M. Fujiwara, S. Ikawa, H. Nakayama, T. Kakue, T. Shimobaba, T. Ito
    • 雑誌名

      Proceedings of the 22st International Display Workshop

      巻: 22 ページ: 908-909

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Gradation Expression of Time-Division Color Electroholography Using LCD Panels2015

    • 著者名/発表者名
      M. Fujiwara, N. Takada, H. Araki, H. Niwase, Y. Maeda, S. Ikawa, H. Nakayama, T. Kakue, T. Shimobaba, T. Ito
    • 雑誌名

      Proceedings of the 22st International Display Workshop

      巻: 22 ページ: 906-907

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Real-Time Electroholography Using Multi-GPU Cluster System with a Single Spatial Light Modulator and Infiniband Network2015

    • 著者名/発表者名
      N. Takada, H. Niwase, H. Araki, Y. Maeda, M. Fujiwara, H. Nakayama, T. Kakue, T. Shimobaba, T. Ito
    • 雑誌名

      Proceedings of the 22st International Display Workshop

      巻: 22 ページ: 904-905

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] シングル空間光位相変調器用マルチGPUクラスタシステムによる計算機合成ホログラムの計算高速化2015

    • 著者名/発表者名
      庭瀬裕章, 藤原将人, 荒木啓充, 前田祐貴, 中山弘敬, 角江崇, 下馬場朋禄, 伊藤智義, 高田直樹
    • 雑誌名

      第14回情報科学技術フォーラム講演論文集 (FIT2015)

      巻: 1 ページ: 41-44

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 時分割表示方式電子ホログラフィによる階調を持つ像の再生2015

    • 著者名/発表者名
      藤原将人, 荒木啓充, 庭瀬裕章, 前田祐貴, 中山弘敬, 角江崇, 下馬場朋禄, 伊藤智義, 高田直樹
    • 学会等名
      第14回情報科学技術フォーラム講演論文集 (FIT2015)
    • 発表場所
      愛媛大学
    • 年月日
      2015-09-15 – 2015-09-17
  • [学会発表] GPU クラスタシステムを用いた電子ホログラフィ2015

    • 著者名/発表者名
      高田直樹,庭瀬裕章,荒木 啓充,藤原将人,中山弘敬,角江崇,下馬場朋禄,伊藤智義
    • 学会等名
      第16回情報フォトニクス研究グループ研究会
    • 発表場所
      千葉県いしい荘
    • 年月日
      2015-09-09 – 2015-09-11
    • 招待講演
  • [学会発表] マルチGPUクラスタシステムを用いた時分割表示方式によるリアルタイムカラー電子ホログラフィ2015

    • 著者名/発表者名
      荒木啓充, 庭瀬裕章, 藤原将人, 前田祐貴, 高田直樹, 中山弘敬, 角江崇, 下馬場朋禄, 伊藤智義
    • 学会等名
      3次元画像コンファレンス2015
    • 発表場所
      海洋研究開発機構 横浜研究所 三好記念講堂
    • 年月日
      2015-07-09 – 2015-07-10
  • [学会発表] 透過型 LCD パネルを用いた階調表現可能な時分割表示方式電子ホログラフィ2015

    • 著者名/発表者名
      藤原 将人,高田 直樹,庭瀬 裕章,荒木 啓充,前田 祐貴,中山 弘敬,角江 崇,下馬場 朋禄,伊藤 智義
    • 学会等名
      3次元画像コンファレンス2015
    • 発表場所
      海洋研究開発機構 横浜研究所 三好記念講
    • 年月日
      2015-07-09 – 2015-07-10
  • [学会発表] マルチGPUクラスタシステムを用いた時空間分割多重化法によるリアルタイム電子ホログラフィ2015

    • 著者名/発表者名
      庭瀬裕章, 高田直樹, 荒木啓充, 藤原将人, 前田祐貴, 中山弘敬, 角江崇, 下馬場朋禄, 伊藤智義
    • 学会等名
      3次元画像コンファレンス2015
    • 発表場所
      海洋研究開発機構 横浜研究所 三好記念講
    • 年月日
      2015-07-09 – 2015-07-09
  • [学会発表] 時分割表示方式電子ホログラフィによる再生像の高精細化2015

    • 著者名/発表者名
      前田祐貴, 高田直樹,庭瀬裕章,荒木啓充,藤原将人,中山弘敬,角江崇,下馬場朋禄,伊藤智義
    • 学会等名
      3次元画像コンファレンス2015
    • 発表場所
      海洋研究開発機構 横浜研究所 三好記念講
    • 年月日
      2015-07-09 – 2015-07-09
  • [学会発表] Real-time spatiotemporal division multiplexing electroholography utilizing movie features2015

    • 著者名/発表者名
      N. Takada, H. Niwase, H. Araki, M. Fujiwara, Y. Maeda, H. Nakayama, T. Kakue, T. Shimobaba, T. Ito
    • 学会等名
      2015 Collaborative Conference on 3D Research (CC3DR)
    • 発表場所
      Busan, South Korea
    • 年月日
      2015-06-15 – 2015-06-19
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 高知大学理学部応用理学科情報科学コース 高田研究室

    • URL

      http://whale.is.kochi-u.ac.jp/

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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