• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

ラフセット理論を活用した特許実務支援システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 15K00154
研究機関岩手県立大学

研究代表者

槫松 理樹  岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (00305286)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード文書分類 / 特許情報 / 情報検索
研究実績の概要

本研究では,権利調査などにおける特許公報処理支援を行うために,特許公報で述べられている,解決しようとする課題とその手段の候補を推定する手法について検討した.
提案手法は,「分類出現語句情報抽出部」「文書ベクトル変換部」「分類推定部」からなる.「分類出現語句情報抽出部」では,専門家によって課題と手段ごとに分類された特許公報から,それらの分類を抽出するために有用と思われる語句とその重みを,分類出現語句情報として抽出する.語句としては,2語以内の名詞列,カタカナ文字列,専門用語などを抽出し,重みとしては,文書内の出現頻度,相互情報量,SO-PMIを用いる.「文書ベクトル変換部」では,分類出現語句情報をもとに,分類済み特許公報,対象となる新規特許をそれぞれ重みごとに文書ベクトルに変換する.「分類推定部」では,文書ベクトルや文書ベクトル間の類似度をもとに課題,手段の候補を推定する.推定では,文書ベクトルにおいて最大のものを候補とする方法と.他の文書ベクトルとのCos類似度,距離,カイ2乗分をもとめ,K-NNを用いて候補を決定する方法を用いた.
専門家の協力のもと行った実験においては,一部を除けばランダムで選択するよりも高い値となった.このことから,提案手法は,有用に働く可能性があるといえる.重みに関しては,出現頻度に基づく重みとCos類似度の組み合わせが比較的よい結果となった.しかし,制度が低い場合があることや,ラベル数の偏りに影響が大きい結果となった.
また,上記と平行し,K-NNと決定木学習,決定木学習とラフセット理論を融合した手法を提案し,その評価を行った.さらにこれらの手法を特許情報処理に適応する方法についても検討した.
今後は,実験結果の分析による問題点の洗い出し,ラフセット理論や潜在的意味解析,適応フィードバックなども含めた推定方法の改善手法の提案,再実験による評価などを行う.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成27年度の計画において,(1)内容把握支援機能の構築,(2)特許関連MAP作成支援機能の構築,(3)商用ソフトウェアの調査,(4)特許公報の収集をあげた.このうち,(1)内容把握支援機能の構築については,実績概要で述べたように手法の提案,システムの構築し,専門家の協力のもとの評価を実施した.また,評価結果をもとに,問題点の洗い出し,改善手法の検討を行った.また(4)特許公報の収集についても,特許情報プラットフォームから入手を進めている.以上から(1)(4)は計画通り進行している.一方,(2)特許関連MAP作成支援機能の構築については,既存の特許MAPを調査するにとどまっており,(3)商用ソフトウェアの調査についても,Webサイトや紹介記事などのサーベイにとどまり,実際に運用までは進めていない.このことからこれらについては計画より遅れていると言える.以上のことから,自己評価としては,(3)やや遅れている。とする.

今後の研究の推進方策

平成28年度以降については,(1)内容把握支援機能の構築・評価実験・改善,(2)特許関連MAP作成支援機能の構築,(3)商用ソフトウェアの調査,(4)特許公報の収集を行う.基本的に(1)内容把握支援機能の構築・評価実験・改善を中心に,それを補う形で(2)以降の内容を実施する.以下,各内容の説明を記す.
(1)内容把握支援機能の構築・評価実験・改善は,これまでに作成してきた提案手法を平成27年度の知見に基づき改善する.また,当初計画の(5)評価実験,(6)システムの改善・再評価と融合し,専門家の協力のもと,ラフセット理論や潜在的意味解析を応用する手法の提案・構築を進める.
(2)特許関連MAP作成支援機能の構築については,パテントマップについての調査を継続し,(1)と並行して実施する.基本的に(1)で構築していく機能の外部インタフェースとしての実装を目的とする.
(3)商用ソフトウェアの調査においては,いくつかの候補から一つ以上を選択し,実際利用を行う.その中で精度の比較を行う.
(4)特許公報の収集については,(3)の商用ソフトウェアを活用することで効率を高めるほか,参考とするパテントマップの特許の収集を行う.

次年度使用額が生じた理由

大学内業務により,海外学会での発表を取りやめたこと,および,商用ソフトウェアの選定が遅れ,発注にいたらなかった為.

次年度使用額の使用計画

研究で利用する商用ソフトウェアの選定を進め,その購入費に当てるほか,評価実験に学生等を雇用し,その謝金と当てる.また,パテントマップ関連の情報収集に必要な費用にあてる.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] ブロック単位の語句の出現頻度に基づく特許分類支援システムの提案2015

    • 著者名/発表者名
      槫松理樹
    • 学会等名
      第14回FIT情報科学技術フォーラム
    • 発表場所
      愛媛大学
    • 年月日
      2015-09-17
  • [学会発表] A Framework for a Decision Tree Learning Algorithm with Rough Set Theory2015

    • 著者名/発表者名
      Gajo Petrovic(代理)
    • 学会等名
      Proc. of. The 14th International Conference on Intelligent Software Methodologies, Tools and Techniques
    • 発表場所
      Naples, Italy
    • 年月日
      2015-09-16
    • 国際学会
  • [学会発表] ブロック単位の語句の出現頻度に基づく特許課題・手段推定システム2015

    • 著者名/発表者名
      槫松理樹
    • 学会等名
      2015年度人工知能学会(第29回)
    • 発表場所
      はこだて未来大学
    • 年月日
      2015-05-31

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi