システムの可用性、信頼性を実現するためにデータベースの複製を作成する技術であるレプリケーションが広く利用されている。しかしアプリケーションごとに要求される最低限の一貫性を保証するリプリケーションプロトコルを個別に実装することは、管理や運用の面で、ユーザーの負担となる。昨年一昨年と、バックエンドベースのリプリケーションプロトコルと、単一故障点となるバックエンドのサーバを排除しデータベースノード間の一貫性制御プロトコルを提案した。今年度は、スケールアウト性能について検討した。その結果One-Copy Serializabilityにおいて、読み出しが多いワークロードを実行したときには従来手法(McRep)に比較して2倍のクライアント数までスループットが向上することを確認した。またレプリカサーバ数が性能に与える影響も調べた。その結果レプリカが増えると一貫性制御のオーバーヘッドが増加するものの、従来手法と同等かそれ以上のスループットを確認した。次にDeferred Updateリプリケーション拡張手法との性能比較を行った。さらに具体的な障害復帰メカニズムについても提案し、障害復帰時にシステムの性能に大きな影響を与えないことを実証した。最後に代表的な分散ファイルシステムであるSCephとの間で結果整合性を適用した場合における応答時間とスループットの比較を行った。その結果提案手法ではCephに比べて24%向上し、スループットは29%向上することを確認した。
|