仮想計算機技術の発達により、地理的に分散する大学や組織が提供する計算機資源をソフトウェア制御技術により動的に多数確保し、仮想計算資源を共有するマルチサイト・クラウド実験基盤の構築技術は成熟しつつある。しかし、このような広域に分散する仮想計算機基盤と統合して活用可能なネットワークの実験基盤の整備はまだ発展途上にある。本研究では、広域に分散するSDN (Software Defined Networking)サービスを複数相互接続し、仮想計算機基盤の構築と同時に、その仮想計算機基盤間をつなぐネットワークに関しても仮想化技術によってソフトウェアで完全に制御可能なネットワーク実験基盤(テストベッド)の構築を目指し、研究開発を実施してきた。 当該年度は、主に本研究の成果報告に取り組むとともに、昨年度に引き続き複数管理ドメインにまたがるOpenFlowネットワークの管理のためのOpenFlowネットワークモニタリングツールの実証的評価を実施した。 研究期間全体を通して、本研究では 1) OpenFlow相互接続網の構築、2) 複数管理ドメインにまたがるOpenFlowネットワークの仮想化技術の構築、3) 複数管理ドメイン仮想化技術の実証実験、4) 実アプリケーションを用いたネットワーク実験基盤の実証的評価に取り組んだ。国際環境におけるOpenFlowの相互接続網の構築にあたっては、日本3拠点、アメリカ3拠点、台湾1拠点、タイ1拠点、マレーシア1拠点を結んだ環境の構築を達成し、複数管理ドメインにまたがる管理手法としてSDN環境を仮想化するAutoVFlowの展開と実証実験を実施した。また、アプリケーションの実証としてマルチパスを用いた高速データ転送システム、複数管理ドメインにまたがるOpenFlowネットワークモニタリングツールの実証的評価を通して研究成果の評価を実施した。
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