研究課題
平成30年度は本研究の最終年度に当たるため、平成27年度に作成したシミュレーション用モデルを使用して平成28年度に行ったシミュレーション結果について、医学的な見地からの評価を行った。評価の結果は下記のとおりである。1) 本研究では粒子法を用いたシミュレーションを行っているため、左心室および大動脈内の圧力については、粒子の圧力を計算し各粒子に色を付けて表示した。また、シミュレーションは3次元的に行っているためモデルの内部を観察することはできない。そこで、コンピュータグラフィックス技術を用いてモデルの中央部を切断し、切断面における粒子の挙動を2次元的に表示した。この結果、左心室と大動脈内の圧力変化の様子を詳細に調べることができた。2) 上記シミュレーション結果の可視化と同時に、各粒子の圧力変化をグラフとして表示し、一心拍における左心室と大動脈内の圧力変化を医学文献と比較した。この結果、左心室において一心拍の初期から始まり、大動脈弁が開いて血液が大動脈側に流れるまでの圧力変化はシミュレーションと文献とでほぼ一致した。しかしながら、大動脈における圧力変化は文献に比べて全体的に低い値となった。これは本来、一心拍の初期状態でも大動脈側に幾らかの圧力が存在するが、シミュレーション開始時には大動脈内に粒子が全く存在しないことが原因であることが判った。3) シミュレーションの結果を用いて、左心室から大動脈への血流により大動脈弁が開閉する様子を動画として作成し、心臓内部における超音波画像(ビデオ)と比較したところ、シミュレーションにおける大動脈弁の開閉速度は、ビデオにおける大動脈弁の開閉速度とほぼ同じであることが判った。
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映像情報メディア学会誌
巻: Vol.71, No.11 ページ: J252-J258
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