平成28年度までは,Meshless Time-Domain Method (MTDM) を用いて,一定幅の導波管において電磁波伝搬シミュレーションを行ってきたが,平成29年度は,新しい問題としてTaper形状の導波管に対してMTDMを適用した.その結果,計算が破綻することなく比較的長時間のシミュレーションが実現できた.したがって,新しい問題におけるシミュレーションに対しても,これまでに実施してきたMTDMの安定化の効果が現れていると考えられる. 一方,MTDMによるシミュレーションを高速化するために,Oakforest-PACSにおいて,1ノードではあるものの最大1024スレッドの並列計算を行った.この計算では2次元問題を扱ったものの,3次元問題を扱う際にも参考になるように節点数を多めに設定した.具体的には約1158万節点配置して計算を行った.結果としては,256スレッドのときがもっとも高速化され,1スレッドと比較すると,約20倍高速化された. 研究期間全体では,Interpolating Moving Least-Squares method (IMLS) を形状関数生成に使うことで,MTDMの安定性が向上し,比較的長時間のシミュレーションが可能になったことが最も大きな成果であると考えている.また,MTDMとFDTDのHybrid法も提案し,精度をほとんど変えずに高速化を実現した.3次元問題への取り組みとしては,将来的に陰解法を用いたときなどのための基礎研究として,メッシュレス法の1つであるX-EFG法を用いて3次元Poisson方程式を離散化して得られた連立1次方程式の解法について調査し,係数行列の構造を考慮した前処理を用いることで,反復解法で効率的に解ける例を確認した.これらの成果は国際会議などで発表しただけでなく,Journal Paperとしても出版された.
|