研究課題/領域番号 |
15K00186
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
Morozov Kirill 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 助教 (80443232)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 耐量子暗号 / 符号理論に基づく暗号 / デジタル署名 / 公開鍵暗号方式 / 秘密分散法 / 不正者を検知可能な秘密分散法 / Robust秘密分散法 |
研究実績の概要 |
(1) Courtiosその他(Asiacrypt 2001)らの符号理論に基づくデジタル署名はNiederreiter問題が困難であることを想定して、強存在的偽造不可能性を持つことを証明した。本結果の暫定版は国内SCIS 2016で発表して、最終版をIWSEC 2016に提出した。 (2) tのrushing 不正者を検知可能な(k,n)秘密分散法を構築した。分散のサイズは「(秘密のサイズ)(n-t)の(n+2t) 乗/eの(n+2t) 乗」で、攻撃者の成功確率は秘密のサイズに依存しない。本論文のプレプリントはCryptology ePrint Archiveに公開して、ICITS 2016に提出した。 (3) 複数プロバイダにわたる分散ストレージのためのグループ横断秘密分散法を構成した。Shamirの秘密分散法が二つ組み合わされ、これによって一つのプロバイダに閾値以上の分散を預けないで済むことになる。 (4) IWSEC 2014で発表した不正者を検知可能な(k,n)秘密分散法の結果をrobust秘密分散法に一般化した。特に、マルチレシーバー・マルチメッセージ認証符号はCevallosその他(EUROCRYPT 2012)らのrobust秘密分散法に応用して、その分散サイズのoverheadが50%減少した。この論文の雑誌版をIEICEジャーナルに提出した。 (5) Morozov, Takagi(ACISP 2012)ら及びHu, Morozov, Takagi(AsiaCCS 2013)で発表された符号理論に基づく公開鍵暗号方式の平文知識証明プロトコルに関係する結果を組み合わせ、安全性証明を改善し、IEICEジャーナルに掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Courtios, Finiasz, Sendrier(Asiacrypt 2001)らの署名の強存在的偽造不可能性に関係する結果を得たが、符号理論に基づくグループ署名はAlamelouその他(Workshop on Coding and Cryptography 2015)ら及びEzermanその他(Asiacrypt 2015)らを構成したので、現在の研究フォーカスを秘密分散法とそのバリアントに変更した。
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今後の研究の推進方策 |
(1) ランダムオラクルを使用しない符号理論に基づくデジタル署名を構築する。この目的のために、符号理論に基づく衝突困難性をもつハッシュ関数とその関係する暗号プリミティブの研究を行う。
(2) 各線形秘密分散法に基づいて、非対話型ディーラーをもつ検証可能秘密分散法を構成する。この構成で、参加者はディーラーと対話しなくても、分散の正しさを検証できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
ビザ発行遅延のために、平成28年3月の米国テキサス大学ダラス校への出張をキャンセルしたこと。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度内に米国テキサス大学ダラス校への出張に使用する予定である。
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