研究実績の概要 |
本研究の特色は,生体認証にその有用性にもかかわらず研究が進んでいない「耳介」を用いることにある。耳介のパターンは個人により異なりかつ,指紋や虹彩より大きいため,機器への接触なしに遠くから個人を識別できる利点がある。申請者はGabor Jetや判別分析等を利用し首を左右に振る,ないしは傾けたときに生じる耳介の角度変化にロバストな耳介認証の研究を行ってきた。この研究を発展させ,下記4項目 1.撮影角度が異なる画像の推定手法改良によるロバスト性向上の可能性 2.耳介の撮影角度を推定するアルゴリズム 3.耳介の検出・特徴点探索手法の改良によるロバスト性向上の可能性 4.耳介特徴点の発生異常や事故での欠落,髪の毛や耳介自身による遮蔽を自動的に判断するアルゴリズム について検討し,防犯カメラの耳介画像から捜査対象者リストを作成する捜査支援システムの実用化を研究目的としている。交付申請書では具体的内容として,「1-(a) 法線を立てる特徴点の検討」,「1-(b) 法線モデルの計算方法,数の検討」,「1-(c) 漸近展開精度向上の検討」,「1-(d) 耳介データベースの大規模化の検討」,「1-(e) 特徴量強調方法の検討」,「2-(a) 入力画像中の耳介角度を推定する手法の検討」,「2-(b) 耳介の張り出し角度の統計的調査検討」,「3-(a)特徴点抽出の改良」,「4-(a)特徴点の有効性の自動判断」の9項目を調査研究対象としていた。この9項目のうち1-(a),1-(b),1-(d),3-(a),4-(a)の5項目について研究に具体的な進展があり,3件の国内学会発表(内1件2019年度発表確定)と,2件の国際会議発表と1件の学術論文(印刷中)を公表した。
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