研究課題
情報を暗号化したまま処理を行う秘匿演算方式に関しては,データベースを暗号化したままキーワード検索を行うことが可能であるような新しい検索可能暗号の提案を行った.昨年度は既存の検索可能暗号では検討されたことのない新しいデータ構造に基づいた方式を提案したのに対し,今年度は従来検索可能暗号で利用実績のあるデータ構造であるブルーム・フィルタを拡張したカウンティング・フィルタと呼ばれるデータ構造に基づく方式を提案した.方式の提案に加えて提案方式の実装も行い,実用的な処理速度でデータベースの情報更新や,データの削除が可能であることを確認した.テンプレート保護型の生体認証に関しては,攻撃者が認証結果に基づいて新たな認証情報を生成するヒル・クライミング攻撃に耐性のある生体認証方式のモデルを見直すとともに,暗号化したまま平文の加算を行うことが可能な加法準同型暗号を利用したヒル・クライミング攻撃に耐性のある方式の改良,および提案方式の安全性証明を行った.また,昨年度提案した二値ベクトルで表された生体情報に対するテンプレート保護型の生体認証方式を拡張し,多値ベクトルで表された生体情報を扱うことのできる方式の提案も行った.秘密分散をベースにしたマルチパーティ計算に関しては,秘密を復元することなく,またユーザ間の通信を全く行うことなく複数の秘密の乗算結果のシェアを計算することが可能なd乗算可能秘密分散法における不正防止技術の検討を行った.具体的には,不正な乗算結果の部分情報を出力する不正者を検知することが可能な検証乗算可能な秘密分散法のモデルの構築,および構築したモデルにおける方式の構成可能性の検討を行った.また,検証乗算可能な秘密分散に関しては,任意に小さい不正成功確率を許容した場合に,秘密の部分情報が3つの有限体要素からなる非常に効率的な方式の構成も行った.
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E101-A ページ: 138-148
10.1587/transfun.E101.A.138