研究実績の概要 |
H28年度は,多重ロジスティック回帰を計算する数値計算手法を調査し, 多大な計算コストのかかるPPDMに適しているアルゴリズムとして,反復再重み付け最小二乗法IRLSを選出した.IRLSは,収束効率が良く,多くのロジスティック回帰で採用されている効率的なアルゴリズムである.加法準同型性を満たした公開鍵暗号で,このアルゴリズムを実施するシステムを試験実装し,そのパフォーマンスを評価した.これらの成果は,国際会議ASIAJCIS 2016にて発表した.疫学コホート研究の観点で許容できる精度の要求条件を満たしていることも考慮し,必要に応じて既存の方式を改良する.また,垂直分割多重回帰を秘匿計算するプロトコルを実装し,現実の5000名の診療情報に適用した.それにより,十分な精度を持っていることを確認している. 主な論文は次の通りである. 1. H. Kikuchi, H. Yasunaga, H. Matsui and C. I. Fan, Efficient Privacy-Preserving Logistic Regression with Iteratively Re-weighted Least Squares,2016 11th Asia Joint Conference on Information Security (AsiaJCIS), pp. 48-54, IEEE, 2016. 2. 濱永 千佳 , 菊池 浩明 , 康永 秀生 , 松居 宏樹 , 橋本 英樹プライバシーを保護した垂直分割線形回帰システムの実装とDPCデータセットを用いた評価マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集, pp. 1471-1478, IPSJ, 2016.
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