研究実績の概要 |
人口高齢化,医療・介護の需要増加と共に,疾病リスクの分析,医療資源の効率的配分を目的とした医療情報の電子化を背景に,患者の個人情報保護が大きな課題となっていた.そこで,本研究の目的は,複数の病院に分散された医療データを秘匿したままで,ロジスティック回帰を実行する秘匿計算暗号プロトコルを研究することである.ロジスティック回帰には多大な計算コストがかかり,特に単純な最急降下法では収束までの繰り返しが膨大であるため,反復再重みづけ最小二乗法IRLSを研究した.加法準同型性を満たした公開鍵暗号を用いて,JavaとRを用いて試験実装を行い,十分な収束効率があることを確認した.この成果の一部を,[1]の国際会議にて発表している.また,[2]においては,現実の診療情報を用いて,提案方式を適用し,複数の変数を含む多重回帰を秘匿したままで実現できることを確認した.
[1] H. Kikuchi, H. Yasunaga, H. Matsui and C. I. Fan, “Efficient Privacy-Preserving Logistic Regression with Iteratively Re-weighted Least Squares”, 2016 11th Asia Joint Conference on Information Security (AsiaJCIS), pp. 48-54, IEEE, 2016. [2] H. Kikuchi, C. Hamanaga, H. Yasunaga, H. Matsui and H. Hashimoto, "Privacy-Preserving Multiple Linear Regression of Vertically Partitioned Real Medical Datasets," 2017 IEEE 31st International Conference on Advanced Information Networking and Applications (AINA), Taipei, 2017, pp. 1042-1049, 2017.
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