研究課題/領域番号 |
15K00197
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
松岡 和生 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (50209508)
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研究分担者 |
山口 浩 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (20174625)
宮内 哲 国立研究開発法人情報通信研究機構, その他部局等, その他 (80190734)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 直観像 / 共感覚 / 視線活動 / 近赤外線分光法 / fMRI |
研究実績の概要 |
1. 直観像所有者と共感覚者を見いだすために,大学生を対象とするスクリーニング調査を実施した。具体的には,質問紙による集団スクリーニングと実験室における直観像及び色字・色聴共感覚の標準的な検出テスト・個別面接の2段階選抜により,直観像素質者と色字及び色聴共感覚者を同定した。あわせて同じ集団にイメージ能力の個人差査定(イメージ鮮明性,物体性vs.空間性イメージ選好性,空想傾性,日常イメージ体験)を実施し,直観像能力と共感覚能力の関連性について検討した。 2.数字視覚化課題,視覚記憶課題を用いた客観行動指標のデータを収集し,これらを指標とした直観像素質者と非素質者の識別可能性について検討したところ,数字視覚化課題における数字列のprobe位置に基づく反応時間の増加関数の傾きによって,直観像素質者がある程度同定可能であることを示すデータを得た。データの一部は関連学会に発表した。 3.近赤外線分光法により,①直観像喚起時の後頭葉視覚野の脳血流変化,②音声呈示された数字列を視覚化した状態での,順唱・逆唱課題時における直観像素質者と非素質者の後頭葉視覚野の脳血流変化についての計測実験を実施した。 4.直観像喚起時の眼球運動(視線活動)の知覚的な特異性に関する研究に着手した。初年度は,連携研究機関の協力得て,新しい手法に基づいて,直観像喚起時の視線活動を計測するための予備実験を実施した。 これらの研究成果は,H28年に関連雑誌論文,関連学会に発表の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は,直観像及び共感覚所有者のスクリーニングを実施し,両方の能力を有する研究協力者を10名程度確保することができた。また質問紙調査から両者に共通する共通特性をイメージ能力の観点から検討した。さらに,脳機能イメージング研究ではNIRSを用いた直観像形成時データの収集を実施し,直観像喚起時の視線計測にも着手することができた。以上の点では研究の進展は概ね順調である。その一方,直観像所有者と共感覚所有者を対象としたfMRIによる撮像実験は,初年度は実施されていない。現在,連携研究者と実験内容をつめている段階であり,28年度には連携研究機関においてfMRIの撮像実験に着手する予定になっている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)大学生を対象とした直観像及び共感覚保有者の検出検査を行い,新たな研究対象者及びインフォーマントを見い出していく。 (2)直観像の知覚特性を示す特異的な視線活動を連携研究者の開発したヘッドマントディスプレイ型の眼球運動測定装置によって検討する。 (3)連携研究機関に設置のMRI装置を用いて直観像および共感覚喚起時の脳活動の特徴とその関連性についてのデータを収集する。今年度は,直観像だけを所有している者,共感覚だけを所有している者,直観像と共感覚の両者を所有している者の安静時の脳構造(T1強調)画像と神経繊維(拡散テレソン)画像を撮像し,非素質者群と比較,各群を特異性を示す脳部位の同定を試みる。また,安静時ネットワークに関するデータ収集も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が直観像と共感覚を所有する被験者を対象とした研究(実験及び面接調査)を28年4月に実施することになったため,その旅費・謝金として翌年度分として使用することとした。また分担研究者が,本年度分の一部を翌年度分と合わせて使用するため繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
28年4月に実施する実験研究(脳波および光脳機能イメージング計測)の旅費と謝金として使用する。 28年度に研究代表者の所属場所で行う研究研究打合せに他機関所属の分担研究者が参加する際の旅費,および研究分担者が所属する場所で使用する消耗品代として使用する。
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