研究課題/領域番号 |
15K00199
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
宇野 良子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40396833)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 新造語 / ウェブコーパス / 心的辞書 / 構文 |
研究実績の概要 |
本研究は、ウェブに見られる新造語の分析を通じ、人の頭の中にある語彙知識の総体(心的辞書)のダイナミズムについての理論を、進化言語学的観点から構築することを目的としている。本年度は3つの進展があった。 まず、これまで行ってきた新動詞の分析については、データの整理と文献調査を行い、最終年度に向けての論文投稿の準備をすすめた。本トピックに詳しい研究者たちからのアドバイスを得るため議論や発表も行った。更に2017年6月出版予定の招待論文でも成果の一部をまとめた。 次に、これまで新造語彙を中心に研究してきたが、その分析方法を応用して、新造構文の分析に着手した。また、この新造構文はコンピュータに関して詳しいか否かによって、定着化の度合いが異なることが判明したため、これまで本研究では取り扱ったこなかった新造語の社会言語学的な側面も扱うこととなった。成果は、2017年度7月の国際認知言語学会(ICLC)に投稿し、採択されている。 最後に、本テーマに関わるもう一つの新たな展開として、新しい言葉を生み出す様子を観察する実験のデータ分析を開始ことがある。これまで扱ってきたデータはある程度人々に新造語が共有されて以降のものであったため、その始まりについては推測するしかなかった。そのため、これは大きな進展であると言える。2017年度6月のIEEEサイバネティックス国際会議(CYB-CONF)に採択されており、口頭発表と予稿で成果を公開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた新動詞の分析に加え、新造構文の研究や新しい言葉を生む実験など、研究に広がりが出てきたことにより、理論的観点からは予定よりも進展がはやい。同時にタスクが増えてきたことにより、当初から予定していたウェブデータ整理には予定より時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、まずウェブコーパスに見られる新動詞についてこれまで行ってきた分析をまとめた論文の投稿を行う。また、新しく着手した研究について国内外の会議での成果発表を行う。全体を総括するテキストをまとめることも予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会の発表の時期が2年目から3年目にずれたため。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予定通り、国際学会での発表に使用する。
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