美術初心者が絵画鑑賞する際には、その絵画に何が書かれているかという事物の特定や、写実的な表現に固執する写実性制約があることが知られている。この制約を緩和し、多様な情報を引き出すことで創造的な絵画鑑賞が可能となると思われる。そのための支援手法として、主に解説文の効果を検討した。 実験室実験と、実際の美術展でのフィールド実験において、鑑賞者間の自由会話を分析した。その結果、絵画鑑賞は、絵画中の特徴と解説文によって与えられた情報との相互作用の過程として捉えられることが示された。写実性制約は頑健であるが、より長い時間かけて鑑賞することが、写実性制約の緩和において有効である可能性が示唆された。
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