各自治体によって歩行空間のバリアフリー化が進められているが,移動の妨げとなっている場所やその度合いを定期的かつ定量的に計測する必要がある.そこで,小型の移動ロボットにセンサを搭載し,修繕が必要な箇所を自動識別し利用者に提示する手法について研究している.なお,本研究では,路面の隆起や穴などの凹凸を修繕対象としているが,検出した凹凸すべてを単純に修繕箇所と判断する手法では,修繕不要な減速帯や縁石,雑草なども修繕箇所としてしまう問題がある. そこで,本年度は,ロボットに搭載したレーザセンサで路面を三次元的に計測し,それを深層学習の一つである Convolutional Neural Network(CNN)で修繕対象の2カテゴリとそれ以外の6カテゴリに分けて学習させた.ここで,立体の物体識別をするCNNも存在するが,認識精度は十分でない.そこで,三次元情報を,斜め上から見た「斜透視図法」,製図で用いる「第三角法」といった二次元画像に落とし込み,一般的なCNNで学習させた.また,本研究で用いているレーザセンサは,距離計測だけでなく,対象から反射して戻ってきた光の強さである受光強度の情報も得られることから,この情報を二次元画像に投影した画像についてもCNNで学習させた.その結果,それぞれの画像において概ね良好な結果が得られたが,その一方で識別対象に対する得手不得手があることが分かった.そこで,どれか一つを選ぶのではなく,それぞれの認識結果を Complement Naive Bayes (CNB) によって総合的に判断させる手法を適用した.これにより,どれか一つの手法を適用するよりも認識率が向上することを確認した.また,実証実験により,提案手法の有効性を確認した.
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