本研究は,スマートフォンやタブレットなどのタッチベースデバイスから入力される手書き認識について,言語ごとに使われてきた方式を検討し,統一的に認識できるモデルと手法の確立を目指す.オンライン手書き認識はタッチデバイスから入力される時系列の手書きパタンを自動的に解釈・変換する処理を指す.現在,従来のペン入力機器に加えて,スマートフォンやPad型PCなどのタッチ入力の機器が急速に普及しており,自然な入力手段として,オンライン手書き認識技術は重要性を増している.しかし,日本語あるいは中国語,英語などのヨーロッパ言語,アラビア語,インドの諸言語で,手書き認識システムは異なった方式で個々に研究開発されてきた.この方法では,多言語化は開発コストが大きく,性能でも限界にきている.そこで,個々の言語で優位な最新の認識モデルを踏まえつつ,統一的な認識モデルを確立する. 本研究は,日本語のオンライン手書きで確立した明示的な切出し手法による最先端の認識技術を土台に,包括的なモデルを提案し,英語や中国語,アラビア語などの多言語の手書き認識に適用し,各言語に対する既存手法のメリットを包括しつつ,各手法を超える性能や利点を実現した.本学と中国科学院自動化研究所とニューヨーク州立大学バッファロー校でそれぞれ作成された大規模データベースなどを利用し,既存手法との比較・検討の上に,PDCAサイクルを回して標記の目標を追及した.国際会議や論文誌などの場で研究成果を公表するとともに,研究に必要な意見交換を行った.
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