研究課題
近年,食の安全への関心の高まりから,飲食店,食品工場(以下,現場)などに出現するネズミなどの害獣の監視,駆除が強く求められるようになってきた.監視や駆除を効率的に行うため,あるいは駆除の効果を確認するため,現場に設置された赤外線監視カメラによる映像を利用することがある.人による目視による映像の調査は負担が大きく,見落としなど正確性に欠ける問題がある.そこで本研究では,監視カメラ映像を画像処理することにより,ネズミなどの害獣の自動検出を行う手法の開発を目的とする.本研究,初年度では,監視カメラ映像に映る移動物体を背景差分法により検出するにとどまっていたため,ネズミのほか,ほこり,虫,人,移動する装置,明滅するライト,照明のオンオフなどにも反応し,誤検出が多く実用レベルには至っていなかった.そこで,ターゲットをネズミに定め,ネズミの画像認識を行うこととした.一般的な画像認識は静止画を対象としているが,ネズミの場合,映像中に占める面積が小さいこともあり,人ですら1枚の静止画を見ただけではネズミの有無を瞬時に判断することは困難である.通常,人は動画像において動きのある対象を見つけ,その形状や動きのパターンからネズミであるかを判定しているため,動画像として画像認識することが不可欠であると考えた.2年目では,映像中のネズミの空間的サイズと移動速度の範囲を特定し,これらを利用することにより検出精度を改善した.3年目では,人がどのようにネズミ特有の動きを認識しているか,具体的には,赤外線映像中では遠景で眼だけが光って映る場合と近景で全身が映る場合があること,一定速度で動き続けるのではなく移動と停止を繰り返すこと,動く方向に体が伸縮するといった特徴を利用していることを突き止め,これらを数理モデル化して利用することにより,ネズミの検出精度を飛躍的に向上させることに成功した.
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International Journal of Computer and Information Technology
巻: 6 ページ: 7-13
IEICE Trans. on Fundamentals of Electronics. Communications and Computer Siences
巻: E100-A, No.6 ページ: 1306-1314