本研究の目的は,工業用あるいは医療用の内視鏡などのように,特殊な環境下で利用され,撮影位置や方法に制限のあるカメラの映像から,その対象物体あるいは環境の高精度な3次元復元を行うことであり,カメラ映像からの3次元復元技術がロボットなどの視覚やメディア応用だけでなく,医療への応用,建物や遺跡の内部,災害現場のがれき内,災害後の捜索活動など,通常のカメラでは撮影の難しい場所における形状復元が可能となるなど,様々な実利用が可能となる. 昨年度までに,工業用内視鏡カメラを対象とした,カメラパラメータの動的なキャリブレーション及びフレーム選択とそれらの画像からの形状復元法,ドローンカメラに搭載された砂浜などの特殊シーンに対する射影変換ベースの高精度な復元方法,様々な画像に対応し得る適応的な画像間の対応付け法を提案した.関連研究も含め,昨年度までに国際会議を含む口頭発表9件,雑誌論文1件を行なっている. 今年度は,昨年度までの手法におけるドローン映像からの復元に関し,効果的なフレームの選択法と局所的なループクロージングの検出を行うことで,より高精度な復元を実現した.また同システムの応用展開を図り,東日本大震災における津波被害の大きかった宮城県閖上浜での捜索活動に役立てるために,砂浜形状のリアルタイム復元に加え,ディープラーニングを用いた砂浜の漂着物の自動検出手法を提案し,システムへの組み込みを行なった.これらに関し,3件の口頭発表と1件の関連研究についての口頭発表を行ない,現在,まとまった成果を投稿論文とすべく準備中である.
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