研究課題/領域番号 |
15K00260
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
赤尾 佳則 科学警察研究所, 法科学第四部, 主任研究官 (30356159)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 情報センシング / 筆跡 / 質感 / 複眼画像 |
研究実績の概要 |
1 透写・自然条件での筆跡採取 本研究で解析する筆跡の採取方法を検討するため,透写条件(手本を敷き写して文字を書く条件)及び自然条件(通常の筆記条件)での筆跡採取を試みた.透写する筆跡には,カーネル密度推定で求めた60名の筆跡画線の密度分布画像(赤尾他,法科学技術,19(Suppl.),151 (2014).)を用いた.文字の種類は,平仮名46字種,数字10字種,漢字500字種とした.筆跡の採取には,ボールペンタイプのペンタブレット(Wacom製,Intuos5 touch)を用い,紙面に筆跡を採取すると同時に,オンラインデータ(書字運動情報)として,x-y座標,筆圧,ペンの傾き等を取得した.両条件とも,記載枠の大きさは約30mm角であり,研究代表者の筆跡を採取した. 2 同軸落射型の複眼画像システムの構築 筆跡画線の質感をセンシングする装置として,同軸落射照明型の複眼画像システムを構築した.本装置は,同軸落射照明によって筆跡画線の底部に光沢を発生させ,その様子を複眼カメラで多方向から同時観察するものである.小型の複眼カメラモジュール(現有機器)に合わせた同軸落射照明モジュールを開発することにより,試料に約6mmまで近接した状態での画線の撮影が可能となった.得られた複眼画像では,観察方向の変化に応じて光沢の位置や形状が変化しており,画線の質感にまつわる情報が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた実験が終了した.予定していた検討を終え,次年度に取り組むべき課題(透写筆跡の採取)での留意点が明らかとなった.
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今後の研究の推進方策 |
透写条件及び自然条件での筆跡採取を継続し,サンプル数の増加を目指す.開発した複眼画像システムを用いて筆跡画線を撮影し,偏角反射特性(物理的指標)を取得する.複眼画像情報から求めた偏角反射特性と,オンラインデータの各要素との関連について検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,年度内2月開催の国際学会での成果発表を想定していたが,その後,翌年度12月に専門分野に特化した国際学会が開催されることが判明した.効果的な成果発表が期待できることから,当該学会に出席することとした.
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次年度使用額の使用計画 |
上記国際学会での成果発表に要する旅費及び参加費に充当する.
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