研究課題/領域番号 |
15K00266
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
川井 昌之 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00334805)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / 力覚提示 / 非整数階微分 / 受動性 |
研究実績の概要 |
本研究では、人工現実感で用いられるインピーダンス型力覚提示において、操作者に提示する干渉力の計算時に使用するバーチャルカップリング(VC)に非整数階微分を用いる手法を提案し、その効果を検証する。平成27年度には、FIR型近似を用いた非整数階微分項を持つVCにおいて、複数の非整数階微分項を持つ場合のVCの最適化とその効果検証を行なうともに、市販の汎用力覚提示装置への非整数階微分項を用いたVCの実装を行ない、その効果を検証した。 申請者は今まで、単一の非整数階微分項を含むVCの性質や設計手法を提案してきたが、今までの設計手法では事前実験が必要であり、その手順も複雑であった。そこで、事前実験の必要がない新たな設計手法として、複数のFIR型近似の非整数階微分項を線形結合したVCについて考察し、その線形結合の際の各種係数を最適化することで、より効果的な非整数階微分を用いたVCの設計手法を確立した。まず、「非整数階微分項の線形結合の係数最適化」を最急降下法により行い、受動性解析と実験によりその効果を示した。その後、「非整数階微分の階数最適化」及び「非整数階微分の係数/階数の同時最適化」を同様の手法で行なうとともに、最適値の妥当性を検証し、受動性解析と実験により、提示する仮想物体の剛性を増加させることができる効果を確認した。 また、市販の汎用力覚提示装置への実装では、力覚提示装置として使用実績の多いGeomagic Touchなどを購入し、それぞれのソフトウェアライブラリに非整数階微分項を用いたVCを導入するための関数を整備した。また、今まで申請者らが行っていたものと同様の実験を実施した結果、同様の効果を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究実施計画では、 「事前実験の必要がない新たな設計手法の提案と効果検証」 「市販の力覚提示装置を使用した実験とソフトウェアライブラリの構築」 「複数の非整数階微分項を含んだVCの設計と効果検証」 を実施する予定としていたが、これらを計画通りに実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに推進していく予定である。 具体的には、平成28年度は、引き続き「複数のFIR型近似の最適パラメータ設計」を行うとともに、新たに「IIR型近似の設計手法」を考察する。また、「非整数階微分項を用いた手法で被験者が感じる感覚の検証」を行う。 平成29年度は、平成28年度に引き続き「非整数階微分項を用いた手法で被験者が感じる感覚の検証」を行っていく。 「被験者が感じる感覚の検証」では、どのような評価を行うかが問題となるが、一般的な統計処理により実施する予定である。
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