研究課題/領域番号 |
15K00267
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
木下 雄一朗 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (70452133)
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研究分担者 |
郷 健太郎 山梨大学, 総合研究部, 教授 (50282009)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | フレキシブルディスプレイ / インタラクション設計 / 折り紙テセレーション技法 / ユーザインタフェース / 情報表現 |
研究実績の概要 |
近年、新たなディスプレイの形態として、フレキシブルディスプレイが注目されている。しかし、これまでに行われている研究の多くは シート状のフレキシブルディスプレイの使用を想定したものである。本研究では、紙を折ることによって幾何学的な基本パターンを平面に充填させる「折り紙テセレーション」の技法を工学的に応用した新たなフレキシブルディスプレイを提案する。 平成 27 年度は、Phase 1 として、折り紙テセレーションに適したインタラクション方法を明らかにするため、18 名の実験協力者を対象としたジェスチャ観察実験を実施した。実験では、A4 サイズのフレキシブルディスプレイを想定した 30 cm x 21 cmの折り紙テセレーション 8 種類、紙、布、の計 10 種類のモックアップを用い、地図ナビゲーションアプリケーションを想定した実験を行った。 地図の移動、拡大・縮小、経路検索など、8 種類の機能(コマンド)を実験協力者に提示し、協力者はそれぞれの機能を実行するためにふさわしいと思ったジェスチャを各モックアップに対して行った。この様子はビデオに記録した。また、協力者は、ジェスチャを行うごとに自分が行ったジェスチャのふさわしさを 7 段階の尺度で評価した. 実験後、全実験協力者のふさわしさ評価に基づき、各機能ごとに折り紙テセレーションに適したインタラクションを明らかにした。また、それぞれのモックアップについて観察された全ジェスチャを、ジェスチャの種類・特徴ごとにグループ化し比較することで、折り紙テセレーションと既存のフレキシブルディスプレイの間でのインタラクションの違いを明らかにした。さらに、各実験協力者が行ったジェスチャの一致度合い(あるいは,相違度合い)を検討することで、フレキシブルディスプレイ素材としての折り紙テセレーションが、より多彩なジェスチャを実現可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画であった「Phase 1: 折り紙テセレーションにおけるインタラクション設計」をほぼ計画通りに実施した。ジェスチャ観察実験の対象としたアプリケーションを地図ナビゲーションのみに限定したものの、使用するフレキシブルディスプレイのモックアップを当初の計画の倍である 10 種類を使用し、より緻密な調査を行った。 また、次年度以降の研究実施計画に関する準備も行った。Phase 2 で行う地図アプリケーションを実装について、テセレーション形状認識システムの試作を行うとともに、Phase 3 でのテセレーションへのアクチュエータの組み込みについて、テセレーションの最適な形状変化について調査する実験を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
平成 27 年度の研究成果に基づき、Phase 2 として、折り紙テセレーションの折り面の溝を使って、地図と街並みの雰囲気といった異なる種類の情報の同時表示を可能にする地図アプリケーションを実装する。また、Phase 3 として、テセレーションを曲げた際の半球状の形状を活かして個人空間を形成する協調作業テーブルトップ環境を構築する。テセレーションにアクチュエータを組み込み、曲げることで、全体を共有空間として使うか一部を個人空間として使うかのシームレスな切り替えを可能とする。さらにテセレーションでユーザに振動フィーッドバックを与えることを想定し、その際の最適なフィーッドバックについても検討を行う。
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