研究課題/領域番号 |
15K00268
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 泰博 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (50292983)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 触覚工学 / 触質 / 触覚シンセサイザー / 触覚検索 / 触質検索 / 触譜 / 感性工学 |
研究実績の概要 |
○時系列データ・音声-触覚変換システムの構築:触譜を振動触覚に変換するシステムの検証実験をおこない触譜を振動触覚に変換するシステムを確立させた。また任意の時系列データ(音声、音楽、株価ほか)を触譜に自動変換するシステムを構築した。以上により、任意の時系列データを触譜へ変換し振動触覚へと変換することが可能となった。これにより、演説や話芸(落語や漫才など)、音楽、株価や生体データを可触化させることができるようになった。 ○時系列データ・音声・音楽の触質測定システムの構築;音声の触質(硬-;軟、粗-なめらか)を数量化して分析するシステムを構築した。このシステムの試験的なユーザビリティの評価から、このシステムで分析された音声の触質が大まかに4から5段階に分類されることが示された。また、音楽、音声、話芸、データなどをこのシステムにより分類し特徴的なものを用いることで、触質特徴量のリファレンスを得ることができた。 ○触譜による振動触覚シンセサイザーの構築:一方で、研究協力者の鈴木理絵子氏は100種類余の振動触覚マッサージを触譜を用いて作成しデータベース化した。振動触覚マッサージ生成のため、同氏は素材となる振動触覚を数百種類生成し、触譜を入力としてこの振動触覚データベースと組み合わせることで、振動触覚を生成する「振動触覚シンセサイザー」を作成した。 ○触覚検索システムの構築:触譜によりデザインし振動触覚シンセサイザーで作成した100種類余の振動触覚マッサージデータベースの検索を行うため、ユーザーの音声を構築したシステムにより触質分析を行い、ユーザーの状態にあわせた振動触覚マッサージを検索してリコメンドするシステムを構築した。研究協力者の鈴木理絵子氏は振動触覚を再生する装置(振動触覚によるフェイシャルマッサージ装置)を開発し試用版を完成させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
振動触覚に対する生体応答計測について、研究協力者は細胞応答についての実験を行い、特定の触覚刺激に応答した細胞応答がみられることを確認した。さらに分子応答についての計測のため、海外の研究協力者を招聘し、研究協力者らとミィーティングを行い実施方法や手順について大まかな確認を行った。また、海外研究協力者の研究施設に訪問し、現地にて計測についての打ち合わせを行い実施のための準備をすすめている。
平成29年度に時系列データ・音声・触覚変換システムの構築、時系列データ・音声・音楽の触質測定システムの構築、触譜による振動触覚シンセサイザーの構築そして触覚検索システムの構築を行った。これらの構築したシステムをすべて統合したシステムを構築した。そして、研究協力者の鈴木理絵子氏が作成した振動触覚再生装置と組み合わせることにより、ユーザーの音声の触質検索により検索された振動触覚マッサージにより、振動触覚再生装置(フェイシャルマッサージ装置)を動作させるシステムを構築した。このシステムをメインとして、組織としての京都大学を「女性構成員を美しくすること」により“マッサージする「“群れ”をマッサージするー社会をやわらかくする「触覚論理」アプローチの構築」と題した提案を行い、京都大学総長賞を受賞した。
また、以上のシステムを用いて音楽のリズムとニュアンス(触質)を抽出して舞踊家に定時するシステムを試作し、聴覚障がい者の舞踊家と共同したプロジェクトを開始した。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者らとすすめている触譜により生成した振動触覚に対する細胞応答、分子応答の計測を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
振動触覚をあたえた場合の細胞、分子応答の計測実験を行うため
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