研究実績の概要 |
音楽に内在する触覚を触譜を介し振動触覚に変換するシステム(音-触変換)と専用再生システムを確立した.この技術は研究成果の「音楽から触譜への自動変換」.「触譜と振動触覚データベースからの振動触覚生成」そして「音楽(2ch)と振動触覚(2ch)を2chに変換し通信する技術」を組み合わせたものである.さらに音楽・音響の専門家と共同し音声情報のなかに音-触変換して非可聴化した振動触覚を埋め込む技術を開発した.大手音響メーカと共同して埋め込まれた振動触覚を抽出する専用デコーダーを開発し,通常の音声2chのみで触覚情報の通信を可能にした. 聴覚障がい者のダンスチーム(筑波技術大学OB), NTT基礎研と共同し(音-触変換で)音楽から抽出した振動触覚化の実証実験(ライブパフォーマンス)に成功し(ニコニコ超会議に参加),音-触変換技術で様々なモダリティをもつ人々が同じ音楽を同時に体感可能なことを確認した.また,研究協力者の触覚デザインの専門家と共同し,音-触変換技術を応用して音楽に内在する触覚でフェイシャルマッサージを行う美容器を開発した.本美容器の実証実験を行い(70代を中心とする女性, 20名程度)使用前後の顔面の画像をマイクロソフト社の人工知能APIを用い年齢推定を行い平均して-3.6歳の変化を確認した.その他,アンケートや末梢部(手指)の温度変化計測(温かくなる)から,医学研究者により自律神経系への作用が示唆された.さらに音-触変換技術を時系列データ解析に応用し,任意の時系列データの触覚情報化(Tactile bit, T-bit)を可能とした.例えば株価のT-bit化から2008年(リーマンショック)の株価は触覚情報的に特異なことを確認した.本助成の成果を基盤として9月に日本触覚学会を設立した.本会の発起人は自然科学,人文社会科学から芸術までの分野横断的な専門家による.
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