研究実績の概要 |
リアリティある立体視を実現するためには,左右の眼に異なる視覚情報を提示する両眼視差,頭部移動に合わせて視覚情報変化させる運動視差の両方を提示する必要がある.我々は今までに,両眼視差と運動視差を同時に効率よく提示する手法として,複数本の一次元光点列を高回転させ,それらを同期して点滅させることで,立体視覚情報の光線群を再現する独自の手法を提案してきた.本研究では,この一次元光点列によって光線再現を行う手法を,計測手法にも応用し,実環境の物体を光線群として計測することで,立体視覚情報を取得するシステムを開発する.これにより,多人数が同時に異なる視点から,裸眼立体視可能な立体テレビジョンシステム(双方向立体映像伝送技術)を実現する事が可能となる.今年度は特にセンサ列と光源列を統合し,センサから情報をそのまま光源から提示することで,双対の計測・提示系を構成することを目的として実験実施を行った.研究計画における今年度の課題は1)光源列と光センサ列を組み合わせた計測・提示システムの実現,2)視認性の高いシステムとコンテンツの設計指針を明確化するとして,光源列と光センサを組み合わせ,計測と提示を行うシステムの実現を行なった.1)について当初は光センサ列での利用を検討していたが,コストと配線が膨大になることから,小型のカメラをFPGAで駆動し,適切に対応するピクセルを抜き出すことで同等の機能を得ることに成功した.また,2)について上記カメラに置き換えを含んだシミレーションを行いパラメータの妥当であるか検証を行った.さらに視認性が高い画像情報について実際に,表示を行いながら様々なパターンを試した結果,視認性に差が見られることがわかった,そのメカニズムについて,次年度取り組む予定である.
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今後の研究の推進方策 |
29年度は,計測・提示システムを統合し多人数が同時に異なる視点から裸眼立体視可能なテレビジョンシステム(双方向立体視覚情報伝送技術)の実現を目指す.また,本方式を効果的に見せるためのコンテンツ設計論の構築及び具体的なコンテンツの制作を行う.そして,通信における大域を効率よく利用するための方法についても検討を進める.最終的な成果発表としては,完成した三次元情報提示デバイスをACM主催の国際会議SIGGRAPH(米国)などで展示を行うことで学術的な評価を得る予定である.
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