オフィスワーカーは多大な時間を会議に費やしている.参加の促進や均等化を目的として,ICTを用いて対面の議論の場を支援する研究は多くなされてきた.その多くは,発話量や発話のバランス等を可視化するだけの,いわば行動をmirroringするアプローチであったが,参加過多の人の発言を抑制する効果しか得られていない.自他の行動を客観視し,次に取る行動を調整することを期待するだけでは支援に限界がある.本研究では,高性能・安価になったセンサーを用い,姿勢という非言語行動から,興味や同意の程度といった社会的シグナルを読み取り,それまで参加過少だったが意見を持っていそうな人等への発言を促す,つまり行動をguidingするアプローチを試みる.これにより多様な意見が引き出される議論の場を支援する情報環境の実現を目指す. 3年目である今年度は,①提案手法の検証および②提案手法を広く一般に利用可能とするための「基本ソフトウェア」の整備を進めた.①については,提案手法を用いて行ったグループディスカッション実験の動画分析を中心に行った.②については,27~28年度に開発したシステムを,29年度において,広く配布できるアプリケーションとして汎用化するための応用開発を行った.
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