研究課題
本研究は、シースルー型の網膜投影型ヘッドマウントディスプレイ(HMD)に、3次元ディスプレイで用いられる超多眼方式を応用することにより、単眼での3次元表示を実現するとともに、必要な仮想映像だけを選択的に提示することも可能とし、効果的で適切な拡張現実感表示を実現することができるHMDの開発を目的とした。平成27年度は、超多眼状態を実現する網膜投影型ディスプレイを構成するためのホログラフィック光学素子(HOE)の作製手法の確立と、HOE上へ複数の視差画像を投影する手法の確立を行った。平成28年度は、HOE上へ複数の視差画像を投影する映像投影光学系の設計および製作を行った。HMDとして組み上げる場合に、実際に用いることができる小型表示デバイスの性能を考慮して、水平視差のある3枚の視差画像を投影する方式を採用し、小型表示デバイスに合わせたHOEを試作した。また、波動光学を用いた網膜像の解析結果から、試作した投影光学系を用いたHMDによる3次元表示の能力が、瞳孔からの距離が113mm~2000mmの範囲で表示可能であることを確認し、十分な性能が得られることを明らかにした。平成29年度は、試作したHMDにおいて、単眼3次元表示および注視点に対応した仮想映像提示について、基本動作の確認を行った。提案システムにおける3次元表示では、水晶体の調節作用を利用して、注視点に対応した必要な仮想映像だけが合焦し、不必要な仮想映像はボケさせることにより、必要な情報だけを選択的に提示可能であることを確認した。水晶体の調節作用を利用して必要な仮想映像だけを選択的に提示する手法の確立と、提案システムの設計および評価に用いた網膜像の解析手法を確立したことから、本研究課題の当初の目的はほぼ達成できたと考えられる。
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Proc. of SPIE 10556, Advances in Display Technologies VIII
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https://doi.org/10.2352/ISSN.2470-1173.2017.5.SDA-376