研究課題/領域番号 |
15K00285
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
竹村 憲太郎 東海大学, 情報理工学部, 准教授 (30435440)
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研究分担者 |
上田 悦子 大阪工業大学, 工学部, 教授 (90379529)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ウェアラブル機器 / 骨導音 |
研究実績の概要 |
平成27年度は,これまでの研究成果であるアクティブ骨導音センシングを発展させ,関節角度の推定と同時に触覚フィードバックをシステム構成の変更なしに実現した.アクティブ骨導音センシングは,能動的に入力した音・振動を用いて肘や手指の関節角度を推定する手法である.関節角度に応じて伝搬する振動は大きく変化するが,知覚されると不快感に繋がるため,ユーザが知覚できない周波数帯である1kHz以上の周波数を用いて計測を行う.そこに,触覚受容器のパチニ小体で感度が良いとされる200から300Hzの振動を積極的に活用することで,触覚フィードバックの提示を行う.まず知覚可能な低い周波数帯と従来計測に用いた高い周波数の合成波を生成し,それを入力振動として関節角度の推定を行った.周波数帯が異なることから,フィルタを用いて関節角度推定に用いる高周波成分のみ抽出し関節角度の推定を実現した.関節角度推定のみの場合は,これまで通り1kHz以上の周波数のみを入力し,触覚フィードバックの必要に応じて入力振動を合成振動に切り替えた. また,入力した振動は多自由度ある関節ではそれぞれの角度に,また複数関節ではそれぞれの屈曲・伸展に影響を受けることから,様々な周波数帯を合成した振動を入力し,手形状の推定を実現した.推定に用いる特徴量も周波数成分を用いることで安定した計測が可能で,推定の幅も広がったことからユーザインタフェース等への応用が期待出来る.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成27年度の最も重要な課題として1つ目は,触覚フィードバックと関節角度推定を同時に実現することであり,シミュレーション及び実機において検証を行った.シミュレーション及び実機については,次年度以降に予定した内容であり,大きく研究が進捗していると言える.2つ目は,複数,複雑関節の推定に対応するため,手形状推定に取り組んだが,サポートベクトルマシンを用いて登録した手形状を認識することも実現している.これまで,特徴量は振幅のみであったが,周波数成分に注目することで,特徴量の次元数を増やすことが可能となり,複雑な手形状になっても能動的な振動入力により,推定が可能であることが確認できた.今後の研究を推進していく上で,重要な内容が確認できた.
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今後の研究の推進方策 |
作業時に生じる振動にも注目するため,リファレンスとして作成した形状から生じる受動的な振動の計測を行う.リファレンスとして作成する物体は3Dプリンタ等の形状のパラメータが既知なものを用いて評価する.また,人では一定動作での計測が難しいことから定量的計測を可能とする装置の開発にも取り組み,研究を推進する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
ウェアラブルな計測機器がリリースされるということで予算計上していたが,リリース後に内容を検討した結果,本研究課題に取り入れる必要はないことがわかり,物品費が残るかたちとなった.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降は,この予算を用いてより小型なセンサ・アクチュエータの導入や定量的計測を行うための機器を導入したい考えている.
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