研究実績の概要 |
東北メディカル・メガバンク事業では、15万人の健常人を対象としてゲノムコホート研究を行い、提供された試料を管理するバイオバンクを構築し、生活環境、健康情報、ゲノム情報を統合したデータベースを構築する。本研究では、これらの収集情報の概念化を行いオントロジーを構築することにより、本事業で収集する情報を横断する意味検索を可能とし、情報の効率的利用を支援する。 平成27年度はオントロジーの構築を行った。BFOをトップオントロジーとし、既存のオントロジーで定義済みの概念については、その再利用を基本とした。BFO, RO, IAO, PATO, OGMS, OGSF, EFO, MP, HP, GO-BP, UNERON, OMIABISより概念を取得して再構成した。 続いて、被災が発症原因となるPTSD(Post Traumatic Stress Disorder)、および緑内障、歯周炎を対象として、未病から発症に至るプロセスの概念化を行った。疾患の表現モデルは、SmithおよびMizoguchiの定義を基本とし、コホート研究で収集する質問票や検査データ、および生体分子の機能との関係を追加した。Diseaseは Disease Courseにより具現され、DiseaseはAbnormal Stateから構成され、Disease CourseはBiological Processから構成される。続いてPTSD、緑内障、歯周炎を対象として、Abnormal Stateである概念クラス、およびBiological Processである概念クラスについて、既存のオントロジーであるMPおよびGO-BPに対してマッピングを行い、ほぼ全ての概念クラスがマップされることが分かった。MPおよびGO-BPは遺伝子のアノテーションが充実しており、遺伝子の実験データ解析に頻用される。本結果は、遺伝子の解析データからMPおよびBO-BPの推定を介して、疾患の推定が可能となることを示した。
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