研究実績の概要 |
[問題の分類方法] まず、制約充足問題の代表例としてグラフ色塗り問題を対象として、「問題の分類方法」を検討した。ここでは、この問題を制約ネットワークで表現したときの制約密度を分類の指標とした。制約密度が1.5~10の範囲の問題をランダムに生成し、粒子群最適化法(PSO)を用いて解を求めたときの最適パラメータ(w, c1, c2)の値の変化に着目して考察した。この結果、制約密度の範囲が[1.5, 5.0], (5.0, 6.0], (6.0, 10]の3つの領域に問題を分類できることがわかった。
[組合せ問題への適用方法] 次に、群知能を「制約充足問題と組合せ最適化問題に適用する方法」を検討した。まず、PSOに研究計画調書で述べた「ハミング距離」と「遷移確率」を導入する新たな手法を提案した。更に、距離関数を工夫することで探索性能が向上することを示した。グラフ色塗り問題を対象として、この手法を従来のPSOや遺伝的アルゴリズム(GA)と比較した結果、提案したPSOは、問題の解を発見できる割合が高く、探索回数も少なくて済む(計算時間が短い)ことがわかった。次に、人工蜂の巣アルゴリズム(ABC)に「ハミング距離」と「部分解」を導入する方法を提案し、グラフ色塗り問題に適用した。この手法を従来のABCやGAと比較し、有効性を確認した。
[次年度の準備] 最後に、次年度に予定していた「汎用化の方法」の予備検討として、進化計算を用いてPSOの最適パラメータ(上記参照)を決定する方法を検討した。今年度は、広く用いられている5種類の関数最適問題を対象とした。進化計算としては、パラメータが連続値をとることから、進化戦略(ES)を用いることとした。実験の結果から、PSOの優れた探索をもたらすwとc2には負の相関があることを発見した。負の相関が現れる理由は、wまたはc2が大きくなると収束が遅くなり、wが増加した場合c2が減少することで,収束を適切な速度にするためであると考える。
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