研究課題/領域番号 |
15K00296
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
狩野 均 筑波大学, システム情報系, 教授 (40251045)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 群知能 / 制約充足問題 / 探索 |
研究実績の概要 |
[探索効率の向上] ABCとカッコウ探索(CS)を対象として、探索効率を向上させる方法を検討した。ABCにおける個体が探索空間を移動(遷移)するときに部分解を利用することにより、解を発見するまでに必要な探索回数を削減することができることがわかった。最も難しい問題クラス(制約密度=2.5)に属す大規模問題(ノードサイズ=150~210)に対して、部分解のサイズが1~4の場合を比較した結果、部分解のサイズ=3が最適であることがわかった。従来のABCと比較すると、探索回数を約20%削減することができた。次に、カッコウ探索(CS)を対象として、同様の検討を行った。最も難しい問題クラスに属す大規模問題に対して、部分解のサイズが1~10の場合を比較した結果、ABCと同様に3が最適であることがわかった。部分解のサイズをランダムに決定する場合と比較して、探索回数を50%以上削減できることがわかった。 [汎用化の方法] ハミング距離と遷移確率を用いる方法をホタルアルゴリズム(FA)に組み込んだプログラムを開発した。昨年度に開発した粒子群最適化法(PSO)、ABC、遺伝的アルゴリズム(GA)と比較検討した。汎用化のため、問題を制約密度dにより3つの領域(領域Ⅰ:d < 2、領域Ⅱ:2 <= d <= 3、領域Ⅲ:3 < d)に分割して、領域ごとに比較し、それぞれのアルゴリズムが有効に働く領域を明確にした。また、探索回数についても同様の領域ごとに比較検討を行った。 PSOに関しては、進化計算の代表である進化戦略(ES)を用いて、グラフ色塗り問題に対する最適なパラメータを決定した。これは、昨年度に関数最適化問題に対して検討した内容を制約充足問題に拡張したものである。実験結果ら、PSOのパラメータ間に相関関係があること、ならびに領域Ⅰ~Ⅲにおけるパラメータの優位性が存在することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画書に記載した「探索効率の向上」と「汎用化の方法」を予定通り実施した。
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今後の研究の推進方策 |
[高速化の方法] 従来の群知能では、要素の初期座標(初期解)は全てランダムに与えられている。本研究では、一部の初期解をGreedy法などの単純で高速な方法で生成することにより、探索全体の高速化を図る。Greedy法で生成された解候補は、有効な部分解を含んでいる可能性があると考えられる。部分解については、いままでの研究により有効であることが確認されているので、今年度は部分解を初期集団の生成に利用する方法を検討する。 [実世界の問題への適用] 研究代表者は、以前、進化計算を実世界の制約充足問題に適用し、制限時間内に満足できる最適解を発見できることを示した。今年度は、施設レイアウト問題を取り上げ、本研究でこれまでに開発した群知能を適用し、進化計算と比較検討する。実世界の問題に対しては、厳密な最適解を発見することは現実的ではない場合が多い。本研究では、制限時間内に得られる準最適解の精度を評価するため、対象問題を重み付き制約充足問題として定式化する。すなわち、制約条件を強い制約(必ず満たさなければならない制約)と弱い制約(重要度に応じた違反点数が設定されている制約)に分類し、違反点数の合計が最小となる解を最適解(精度が高い)とする。進化計算としてはGA、群知能としてはカッコウ探索(CS)、ABC、FAを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究発表、調査、討論のための国際会議の出張先が一部国内だったため、出張旅費に未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究発表、調査、討論のための出張旅費として使用する。
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