研究課題/領域番号 |
15K00303
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
東海 彰吾 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (50283627)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 撮影者支援 / 多視点映像処理 / カメラパラメータ / 情報重畳表示 |
研究実績の概要 |
H29年度は、前年度までの検討結果を踏まえて、撮影端末上の撮影支援情報提示法の開発と、3次元状況獲得のそれぞれについて、研究を進めた。 撮影端末における撮影支援情報提示法の開発については、被写体位置を撮影画面に重畳して提示するための幾何学的な処理を開発し、実際の撮影端末(Android スマートフォン)上に実装して基本的な動作確認を行った。提案手法は以下の処理からなる。まず、Android OS に用意されているセンサ情報獲得機能を利用して、撮影端末の姿勢をオンタイムで取得し、次に、3次元空間の中に設定した被写体位置、および端末の位置に基づいて、被写体と撮影端末の位置・姿勢の関係を算出した。さらに、携帯端末から見た被写体位置情報を撮影映像上にCGで重畳表示することで可視化する。また、情報重畳表示に関わる画像上の位置合わせに関係する成果を国内学会で発表した。現状としては、被写体位置の自由度や動的変化については制限を設けており、今後、より自由度の高い状況への対応と、表示内容の高度化が課題である。 3次元状況の獲得については、3次元状況を点群として獲得できる複数の距離センサ(デプスセンサ)を利用して、撮影される3次元状況の獲得とその高精度化について検討し、実装した。開発した手法では、センサ位置を変えながら計測した複数の3次元点群を重ね合わせることで撮影状況を獲得する方法を採用しているが、オンタイム処理までの実装を行うことができていないため、今後その改良、ならびに、点群と同時に色情報を獲得するビデオカメラの併用を行い、携帯撮影端末で得られる被写体像との照合による高精度な撮影支援までの実現を目指す。 また、最終年度に向けて、計算処理環境を整備するための設備備品の導入を行い、一連の処理をシステムとして完備するための環境を整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H29年度に実施を計画していた撮影実験については、機材調達時期が年度の後半にずれ込んだため、予定を変更しH30年度に行うこととした。また、撮影時のグラフィカルな支援部分、3次元状況獲得部分それぞれには進捗があったため、それらを統合したシステムの構築については最終年度への課題として行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度は、本研究課題の最終年度として、これまでの成果を整理しつつ、全体を1つのシステムとしてまとめる実装を進めながら、進捗として遅れている動的環境の状況獲得と、状況に適応的なシステムの実現に向けて、以下の(1)、(2)、(3)を実施する。 (1)動的状況獲得と撮影支援技術の実装推進:昨年度まで開発してきた3次元状況獲得モジュールと、新たに導入したステレオビデオカメラモジュールを統合して、実時間でのシーンの3次元状況獲得を実装し、その情報をオンタイムで撮影端末に配信することで動的な撮影支援を実現する。さらに、複数の撮影者が利用できる形に拡張することで、本研究課題の成果としてのプロトタイプシステムを構築する。 (2)動的状況での動作確認と実証実験の実施:(1)で作成したシステムを実状況に展開して、システムの機能を確認しつつ、撮影支援能力についての実証実験を行う。実状況としては、体育館などで実施可能な規模のスポーツ状況を設定し、本課題で提案するシステム利用の有無による撮影行為の違いを計測し提案手法の有効性を示す。 (3)成果の外部発表:国内研究会および国際会議での成果発表、ジャーナルペーパーの投稿を行う。国内研究会においては、本課題で提案する撮影支援環境のコンセプト、およびそのプロトタイプ実装を中心に発表を行い、そのシステムを用いた実証部分を含める形で国際会議で発表を行う。それらの成果をまとめる形で、ジャーナルペーパーを執筆し投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
撮影端末機器の選定の為、実施予定であった撮影実験をH30年度実施に変更した。H30年度は撮影実験とそのデータ解析のための物品費、人件費に充てる予定である。
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