期間延長による研究最終年度として、開発してきた手法をプロトタイプとして整備し、実状況での撮影実験を行いながら手法の有効性確認を行うことを目標とし、使用する端末台数の拡充、実機展開するためのネットワーク増強を含む撮影実験環境の整備、実撮影実験やその分析を行うための人件費・謝金、ならびに、研究成果の対外発表を行うための旅費を計上し、研究を進めた。 スマートフォン端末を使用した撮影支援環境のプロトタイプ整備に関しては、AR拡張機能して注目される、Google 社が提供する ARCore の利用を進め、実環境内のマーカの自動検出とマーカに対する自己位置推定を行い、その情報をサーバを経由して複数の端末間で相互にやり取りすることで、実環境内での絶対的な視点位置や視線方向を獲得し、さらに、その幾何関係に基づいて自分以外の端末の位置や視線を自己の端末上に重畳表示する機能を開発した。さらに、されらを複数のスマートフォン端末上にインストールし、15台程度の規模のスマートフォン群を使った撮影実験が実施できる環境を構築した。 撮影支援情報の生成に関しては、サーバ上で収集された各スマートフォン端末の位置・姿勢情報から視野集中の分布の推定方法の改良として、CGで利用されるαブレンディングを利用して視野重なり評価の高速化をはかり、秒5回程度の更新頻度で評価する方法を実現した。併せて、被写体となる3次元状況の詳細な獲得の方法を検討し、その高速化、および精度向上をはかった。 しかし、2020年1月以降の新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、実状況を対象とした撮影実験が実施できず、実状況下でのデータ分析や手法の有効性の検証を十分に行うことはできていない。今後、本課題で導入した機器を活用した撮影実験を継続的に行い、本課題で提案した手法の検証を行う。
|