本研究は、人間関係とそこでそれぞれの人々がもつ社会的役割を知識発見、データマイニングのアプローチによって解明する計算機アルゴリズムを与え、実際のデータ等で分析事例を示していくことを目的として研究してきた。 いくつかのキー概念を提案し研究してきている。1つは、動的な社会ネットワークの変化を、各個人が有する変化の能力に基づいてモデル化するもので、関係構築中心性としてモデル化し、これと人の社会的性質の関係を探ってきた。これを精緻化するため、ネットワーク生成のモデルとして再定義する研究に発展してきている。 もう1つは、論理に基づくデータマイニングの方法である帰納論理プログラミングを中心として研究であり、個人の有する社会ネットワークパターンを中心に、ネットワーク内の特徴的パターンを枚挙するアルゴリズムを検討してきた。基本アルゴリズムを設計したs後、実データに適用できるように効果的実装を進めてきた。ここで得られるパターンに基づいて、逆にネットワークを生成するアルゴリズムについても研究を進めた。 さらにもう1つは形式概念分析を利用した、複雑なデータを分析する方法の理論研究である。人間関係のような複雑なデータをこの方法で分析する場合、いくつかの抽象化の方法が必要であり、構造を手がかりに簡約化したり、複数の構造の合成として扱う方法を研究してきており、これらのアプローチによっていくつかの進展があった。抽象化の方法と、形式概念分析によって得られる概念間の含意関係の性質について、優れた研究結果を得られた。 その他、人の行動分析にパターンマイニングを応用する研究等、実施している。
|