研究課題
本研究の目的は、運転者の注意を解析することで、より適切に運転補助を行うシステムを開発することである。安全な運転を行うために、運転者は様々な運転環境に応じて、歩行者、信号、道路標識などへ、適切に注意を払う必要がある。本研究では、外向きの車載カメラ(車外カメラ)を通して運転環境を観測し、内向きの車載カメラ(車内カメラ)を通して運転者の視線方向を計測する。この車内カメラで計測された視線方向を車外カメラにマッピングすることにより、運転者の運転環境における注視点を決定する。さらに、その注視点の時間的な動きのパターンから、運転者が運転環境において、どのような物体にどの程度の注意を払っているのかを定量的に評価する。平成27年度は、サブテーマ①運転者の視線方向を車外カメラにマッピングする手法、およびサブテーマ②運転者の注視点の時間的な動きのパターンを運転環境内の物体と関連付ける手法に取り組んだ。サブテーマ①に関しては、小型電気自動車コムス、運転者の頭部姿勢と視線方向を計測できるIntel社のRealSense 3D camera、外部運転環境を観測する全天周カメラRICOH社のTHETAを購入して、システムを構築した。それと同時に、視線方向推定のための技術の開発、全天周カメラへの視線方向マッピング技術の開発、Intel社のRealSense 3D cameraの計測精度の評価を行った。サブテーマ②に関しては、道路画像(静止画)の観察中の視線計測を実験室内で行った。なお、このとき、様々な道路状況下で撮影した画像を使用した。得られた視線データと顕著性マップを比較し、定性的 (主観的) な評価を行った。
2: おおむね順調に進展している
研究代表者は他大学に異動したが、研究分担者やその学生とSKYPEを通して、頻繁に打ち合わせを行い、連携を保っている。現段階では、おおむね順調に進んでいる。
サブテーマ①運転者の視線方向を車外カメラにマッピングする手法に関しては、リモートカメラによる視線方法の推定のばらつきが大きいため、頭部姿勢との融合を試み、初歩的な性能評価を行う予定である。また、それと同時に、計画に従いサブテーマ③車外カメラから車線、歩行者、道路標識などを検出するプログラムの開発に取り組む。また、サブテーマ②運転者の注視点の時間的な動きのパターンを運転環境内の物体と関連付ける手法に関して、平成27年度は、ボトムアップ的なアプローチを用いて取り組んだ。ここでは、定性的(主観的)な評価により視線データと顕著性マップを評価したので、今年度は、まず、視線データから注視時間の頻度分布を作成することで、これらの定量的(客観的)な評価を行う。これらの結果を用い、さらにヒトの運転時の注意に関する心理的な印象空間を作成することで、トップダウン的なアプローチ、すなわち,「○○な道路状況の場合は,○○ に注意が向く傾向にある」ということを明らかにする。さらに、運転中の動画を用いて評価実験を行う予定である。
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IEEE Transactions on Intelligent Transportation Systems
巻: Vol. 16, No. 3 ページ: 1348-1359
10.1109/TITS.2014.2361666
IEEE Transactions on Human-Machine Systems
巻: 未定 ページ: 1-10
10.1109/THMS.2015.2477507