研究課題/領域番号 |
15K00321
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
山内 康一郎 中部大学, 工学部, 教授 (00262949)
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研究分担者 |
石井 成郎 愛知きわみ看護短期大学, その他部局等, 准教授 (80399237)
鈴木 裕利 中部大学, 工学部, 准教授 (20340200)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | クラウドソーシング / 教示付きクラウドソーシング |
研究実績の概要 |
本年度は、人間とコンピュータが協力し合いながら未知の問題の解法を高速に見つけ出すための基本的なシステム構成を設計し、実際にこれを構築して効果を確かめた。 提案法は、クラウドソーシングシステムの一種で、ワーカーと呼ばれるネット上に点在する人たちに対して特定の問題の解候補を提出させ、多数決を取って良質の解を得る。本研究では、このワーカーに分身となる学習器を貼り付けて、ワーカーの行動を見まね学習させる。すると、後から未知の問題を分身に解かせることで半自動的に解候補が出せるようになる。各学習器は、MGRNN(Modified General Regression Neural Network)を使用し、学習結果が人にわかりやすいif-thenルールで取り出して、各々のワーカーに教示するのに活用する。つまり各ワーカーの解候補を中央で多数決を取って、良質の解にしたものを各ワーカーにフィードバックして教示することにより、より高速に良質の解にたどり着けるようしてある。これをCollaborative Bagging(CoLBagging1)と呼ぶ。 だが、すべてのワーカーが正しい解候補を返すとは限らない。そこでマスター役の人間を立てて各ワーカーの解候補を絞るシステムに拡張したCoLBagging2を提案した。簡単なカラーコーディネート課題を用意して実際に人間とコンピュータとの協調学習をさせた結果、CoLBagging2では各ワーカーの学習が高速で進むことを確かめることができた。また統合後の結果が速く良質の解に収束する場合があることをベンチマークテストによって確かめた。しかし、効果が見られたのは一部のデータセットのみで大部分は従来のクラウドソーシングシステムと大きな差は無かった。本結果はInternational Journal of Hybrid Intelligent Systems 13 (2016) pp.63-76に掲載される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来ならばスマートグリッドシステムへの適用まで歩みを進める予定であったが、未だ実現には至っていない。この理由は日本における余剰電力の固定価格買取制度に基づくスマートグリッドと、当方が当初想定していたダイナミックプライシングに基づくスマートグリッドでは大きく事情が異なることが判明したためである。つまりこのままでは適用しても我が国の事情には合わないことになる。そのため、スマートグリッドシミュレーション用の予算は執行せずに次年度に持ち越すととした。
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今後の研究の推進方策 |
現在日本のスマートグリッドの枠組みの中でどの様に研究成果を貢献させるべきかを検討する。現在二つの可能性がある。 ①入札制度による価格決定への利用を検討する。昨年暮れより、政府が主体となって固定買い取り制度が終了する10年後のあるべき姿を議論し始めた。これによれば入札制度によって電力会社と個々の売電業者との交渉によって価格が決まる可能性が高い。今後この仕組みを先取りした取引システムの試作を検討する。 ②HEMS(Home Energy Management System), BEMS(Building Energy Management System)の中で利用する検討を行う。特に、これらの枠組みの中で蓄電池を併用する方法について検討を行い、より複雑な問題に適用可能であることを示したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
Journal掲載費を予定していたが、掲載日時が次年度初頭にまでずれ込んだため、支払いもずれ込んだ。また、当初予定していたスマートグリッドシステムへの適応が、日本の現状と当初計画していた仕組みとが、合わない部分があることが判明して保留状態となったためでもある。
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次年度使用額の使用計画 |
国際雑誌Hybrid Intelligent System HISへの掲載料を、繰り越した補助金から支払う。また提案法を、日本の近未来のスマートグリッド環境に合う方法での適用を目指すべく、そのシミュレータ構築費用に使用する。またこれに伴って共同研究者を1名増やすことを計画しており、配分する費用としても使用する。
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