研究課題/領域番号 |
15K00326
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
宮下 和雄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 主任研究員 (00358128)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | メカニズムデザイン / ダブルオークション / 消耗財 |
研究実績の概要 |
本研究が対象とする生鮮品取引においては、市場で売れ残った財の価値は0となるため、生産者にとって損失リスクが大きく、従来の市場での取引手法は公平性に欠けていると考えられる。そこで本研究では、平成27年度は主として生鮮品取引における取引参加者全体の収益を最大化する上での本質的な課題の抽出と、その解決のための方法論の明確化を行った。具体的な研究実績を以下に示す。 (1)現物取引と予約取引を融合した市場モデルの提案 多数のセラー、バイヤーがダイナミックに参加、退出する生鮮品取引のオンライン取引市場において、既に生産された後の財の現物取引に関しては、従来の生鮮市場と同様にバイヤーのみが購入希望価格を入札する片方向オークション方式を実施し、一方、未だ生産前の財の予約取引に関してはセラーも同時に販売希望価格を入札する双方向オークション方式を採用するハイブリッドな市場において、取引参加者や取引内容に様々な制約を設けることで単純化した市場のモデルを構築した。 (2)上記市場モデルのおいて、取引参加者全体の収益を最大化するためのメカニズムに関する検討 生鮮品のセラーに対して公正な取引を実現するためには、取引される商品の特質上、セラーに対して優位な立場にあるバイヤーに適正な価格入札を促すためのインセンティブが必要である。そこで本研究では、バイヤーによる入札が約定されず取引失敗に終わった際にバイヤーにペナルティを課す支払規則を設けることで、バイヤーの正直な価値の入札を促す。更にバイヤーがペナルティを支払っても自らの入札価格を下回る際にのみマッチングが成立する割当規則とし、バイヤーの個人合理性を損なわれないメカニズムを設計した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は当初研究計画に記述した内容に従って、順調に推移した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は本年度構築した市場モデルとマーケットメカニズムを実行するソフトウェアを開発し、その上で、様々な取引状況をシミュレートするためのマルチエージェントシミュレータの開発を行う。更に、計算機実験により設計されたメカニズムの妥当性を検証するための方法論についての検討も行う必要がある。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品費で購入した機材の価格が当初想定以上に割り引かれたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
少額のため、消耗品等の購入に充てる計画である。
|