研究課題/領域番号 |
15K00329
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 幸司 室蘭工業大学, 工学研究科, 教授 (00179269)
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研究分担者 |
寺本 渉 熊本大学, 文学部, 准教授 (30509089)
服部 峻 室蘭工業大学, 工学研究科, 助教 (40555223)
渡部 修 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (50343017) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 画像・動画像符号化 / ベクトル量子化 / 顕著性マップ / オプティカルフロー |
研究実績の概要 |
27年度に引き続きユニバーサルなコードブック構築に向けた研究を進めた。このときに顕著領域の抽出によって符号化のためのコードブックについても検討した。クリスプクラスタリングとファジィクラスタリングアルゴルムを適用することによって学習画像で構築したコードブックの汎用性をテスト画像を符号化することによって評価した。学習画像サイズが小さい範囲ではクラスタリングアルゴリズムによって複合テスト画像の画質に変化があるが学習画像が6枚以上では画質は実用的には問題にならない程度であった。アルゴリズムの中ではファジィc平均法が良好な結果を示した。 また,画像からの顕著性領域の抽出はAchanta等によって提案されている方法を計算の複雑性の観点から検討した。顕著性領域が抽出できると送信側と受信側のコードブックを適応的に更新することによってベクトル量子化によって通信する情報量を抑えて画像・動画像の符号化ができる。このことから本研究では適応ベクトル量子化法について研究した。適応ベクトル量子化では動作コードブックと局所コードブックによって入力された画像ブロックを適応的に更新するアルゴリズムによって符号化を行うことを検討した。この研究によって顕著領域とその他の領域を分けて符号化することによって効果的なベクトル量子化による画像・動画像の符号化に関する示唆が得られた。 さらに,動画像からオプテカルフローをブロックごとに求めることによって速度ベクトルを計算し方向が類似さたブロックからグローバルな動きを推定できないか検討した。これまでの実験データに基づいて背景に動きがなく注目している物体のみが動く動画像についてブロックマッチング法によって物体の動き補償について検討した。また,自己回帰モデルによって動き補償について検討したが自己回帰モデルよりモンテカルロサンプリングよる方法が有効であるとの指針を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度のコードブックの構築について研究をさらに進展させ学習画像とテスト画像のセットによってクラスタリングアルゴリズムによる汎用性について実験によって詳細に検討した。このことによって汎用コードブックの実用性についての設計指針を得ることができた。低ビットレート通信をベクトル量子化で行うには送信側と受信側でコードブックを保持する必要がありコードブックの汎用性は本質的である。 次に,画像をベクトル量子化によって効果的に符号化するためには画像の顕著性領域を抽出する事が重要である。28年度の研究においてはAchanta等の方法で顕著領域抽出を検討した。顕著領域が高画質であれば全体として視覚的に高画質の知覚を得ることができる。顕著領域を背景と分けて符号化することによって受信側と送信側のコードブックを適応的に更新するアルゴリズムについての指針を得た。次年度以降にこのアルゴリズムを実装することによって効率的で高画質の符号化が行えることの示唆が得られた。 さらに,物体のオプテカルフローを求めブロックマッチング法によってグローバルな動き補償についてこれまでの実験データに基づいて検討した。自己回帰モデルによる方法は線形モデルであるためフレームレイトが低い場合や不連続な動きについて物体の動きを追跡できないことが検討の結果明らかとなった。しかし,物体追跡で用いられているモンテカルロサンプリングの方法を検討した結果,動き補償に有効であるとの指針を得ることができた。また,顕著性領域を抽出するときの顕著性マップを用いることによって物体が突然大きく動いたときの補償ができるとの指針を文献研究から得ることができた。29年度の研究では得られた指針・示唆を実装することによってベクトル量子化による低ビットレート通信の可能性が拓ける。以上のことから研究はおおむね順調に進捗していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
29年度の研究においては,顕著性領域抽出によって送信側と受信側のコードブックを更新するアルゴリズムを実装する。また,実験によって符号化の効率,複合画像の画質の評価を行う。動画像の符号化に係わる動き補償については物体追跡で行われているモンテカルロサンプリングに基づいたアルゴリズムを実装する。このアルゴリズムが実時間で動き報償ができる計算方法についても検討を行う必要がある。以上のことによりベクトル量子化による低ビットレート通信を見通せると思われる。また,画像・動画像の低ビットレートによる通信システムを実装するためにパケット通信,ストリーミングについての検討を行う。さらに,実装した符号化アルゴリズムを災害時に適用するためのサーバシステムについて検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費が航空運賃の変動により当初計画していたより安価になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度研究のための研究経費として使用する。
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