研究課題/領域番号 |
15K00334
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
泰中 啓一 静岡大学, 創造科学技術大学院, 客員教授 (30142227)
|
研究分担者 |
吉村 仁 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (10291957)
宮崎 倫子 静岡大学, 工学部, 教授 (40244660)
上原 隆司 名古屋短期大学, 保育科, 助教 (40621660)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 共生系 / 確率セルオートマトン / ロトカボルテラ |
研究実績の概要 |
これまで代表者らは、個体ベースのシミュレーションモデルとして、「格子ロトカボルテラ模型」(確率セルオートマトン)を開発し、格子上で生物の出生と死亡プロセスを行い、生物進化における最適化問題を扱ってきた。 本研究は、新しい生態系動態予測手法の研究開発を目的としてきた。近年の気候変動や人間による開発は、生物の適応に大きな影響を及ぼしている。生物の適応プロセスを正しく把握するためには、個体群動態を正しく記述する必要がある。しかし、現状の生態系動態予測手法を使うと、共生系に対して、個体数が無限大に発散してしまう。 格子上の生物を想定し、個体ベースの第一原理から出発すると、発散が回避でき、基本モデルが開発できることが分かった。共生系の基本方程式は、現実の共生系の個体群動態をうまく説明する。また過去の共生系方程式よりも、はるかにシンプルである。これまでの成果は、Plos One (2016), Physica A (2016) 等に発表してきた。本年度、共生系における最大の成果は、“Ratio Selection” という理論の提唱である(Tainaka and Hashimoto、Open Journal of Ecology, 2016)。この論文では、なぜ細胞内共生が進化したのか?また、なぜミトコンドリアや葉緑体などのオルガネラ(細胞器官)が進化したのか?というメカニズムを初めて説明した。このような進化がなければ、世の中に存在できないからである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展していると思う。なぜなら本年度、査読付き論文が6編出版されたからである。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も確率セルオートマトンによって、共生系の研究をつづける。とくに、微生物との共生に重点を置く。また企業経営の共生問題にもとりくみ、独創性のある論文を発表したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
経営学についての論文がアクセプトされてから、パリ経済大学に出張する予定であった。論文タイトル:Dynamical model for long-lived companies。しかし、3つの雑誌に投稿したにもかかわらず、アクセプトされなかったので、出張できなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
今年こそ、アクセプトされて、パリ経済大学に出張したい。
|