研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、ブラックボックス関数最適化のための進化計算、特に代表的な群知能モデルの粒子群最適化(Particle Swarm Optimization, PSO)とホタルのアルゴリズム(Firefly Algorithm, FA)の特性についての検討を進め、両者の本質的な探索メカニズムを数値実験により調べてきた。その内容に基づいて、両者のハイブリッドアルゴリズムを提案し、ベンチマーク問題を用いて性能調査を行った。その成果は、IEEEが主催する計算知能に関する国際会議(WCCI 2016)と計算知能に関する国内の研究会と進化計算に関する研究会で報告した。一連の結果から、特性の異なる探索エージェント群における適切な情報共有によって、探索と探査のバランスの調整の実現が期待できることがわかった。 また、拡散と凝集からなる複雑な系の偏微分方程式で記述された数理モデルに基づいた多点の確率的探索メカニズムを導入した。具体的には、分布推定アルゴリズムの形式の関数最適化アルゴリズムを示し、数値実験により、そのシステムが本質的に多峰性関数の最適化機能を有することを示した。この計算モデルのベースとなる数理モデルの特性、導入した計算モデルにおける探索メカニズムの詳細とおよび実装例を、確率システムに関する国際会議で報告するとともに、いくつかの研究会で議論を重ねてきた。このメカニズムでは、部分的に最適性が保証されることから、確率的多点探索法の課題である理論的側面に一定の貢献がなされたと考えられる。
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