研究実績の概要 |
相反する効果である拡散と凝集からなる複雑な系の偏微分方程式で記述された数理モデルに基づいた進化計算型の計算法を、ブラックボックス関数最適化問題へ適用する場合の、代表点の選択法について検討を行った。その結果、導入した計算法は進化計算と同様の性質を示すことがわかった。この成果から、関数最適化に必要な機能から多点探索の手法を構築することの可能性が示されたと考えている。この成果は、IEEE主催の計算知能に関するシンポジウムで発表するとともに、確率システムの理論と応用に関するシンポジウムのプロシーディングスで発表した。さらに、多次元への拡張可能性について数値実験によって確認を行った。また、必要とする機能から最適化法を構築するアプロ―チとして、一般化群知能モデルを提案し、その性質をベンチマーク問題を用いて調査した。この結果は、Springer社のLNCIシリーズから刊行されたSEAL2017のプロシーディングスで発表した。 これらは、いずれのアプローチも競合と協調のよう相反する効果から構成される計算法であり、進化計算や群知能の基盤を検討する上で有用なモデルとなっている。確率的多点探索法の課題である理論的側面への一定の貢献がみとめられると考えられる。 また、引き続き、代表的な群知能モデルの粒子群最適化(Particle Swarm Optimization, PSO)とホタルのアルゴリズム(Firefly Algorithm, FA)の特性についての検討を進めている。両者の探索メカニズムに関する理解から、有用なハイブリッドアルゴリズムを提案し、複雑なベンチマーク問題を用いて性能調査を行った。成果は、2017年度のACMが主催する進化計算に関する国際会議で報告することを計画している。
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