研究課題/領域番号 |
15K00339
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
折登 由希子 広島大学, 社会科学研究科, 准教授 (60364494)
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研究分担者 |
花田 良子 関西大学, システム理工学部, 准教授 (30511711)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 進化計算 / 制約付き最適化問題 / 探索空間の限定 / ポートフォリオ複製 |
研究実績の概要 |
本研究は、等式制約付き最適化問題における進化計算の探索効果を高めることを目的とし、制約付き探索空間の実行可能解を無制約な探索空間に変換する方法を開発する。これにより、進化計算の探索において制約を考慮する必要がなくなり、より効果的な探索が可能となる。 平成27年度は、制約付き探索空間の一部を無制約な探索空間に変換する一つのモデルを開発した。このモデルの開発過程において、進化計算による探索領域を解空間全体ではなく、一部の適切な領域に限定することにより、より良い準最適解を得ることができるという部分的成果を得た。 このため、平成28年度は、進化計算による探索のための、効果的な探索領域の調査・分析を行った。解空間から探索領域を限定する方法として、「進化計算の探索過程の個体集団における設計変数の収束の違いを利用して探索領域を狭める方法」、「縁付きヘッセ行列による極値判定を利用して探索領域を広げる方法」の2種類を構築した。1つ目の方法とその類似方法から得られた部分的成果については、国際会議3件、国内学会4件で発表した。2つ目の方法から得られた部分的成果については、多くの最適化問題に対して詳細を分析し、平成29年度以降に発表予定である。また、平成27年度に開発した制約付き探索空間の一部を無制約な探索空間に変換するモデルは、1つ目の方法と類似した探索領域を狭める方法として有効であるという部分的成果を得た。これらの成果も平成29年度以降に発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、進化計算の探索に有効な探索領域の限定方法の構築という新たな課題の検証を行った。研究計画に従い平成27年度に提案した制約付き探索空間を無制約化するモデルは、平成28年度に着想した探索領域の限定方法として有効であるという部分的成果を得ており、研究計画通りに進んでいる。 本年度の研究成果は、国際会議で4件、国内学会で5件発表しており、未発表の成果もすでに得ている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、進化計算による探索を解空間全体ではなく限定した探索領域で行う方法の有効性を検証するため、様々な探索領域限定方法の構築を行う。 平成27・28年度に考案した方法、成果をもとに、制約付き探索空間の無制約化が探索領域の限定方法として有効であることを示すと同時に、多種の最適化問題において有効な探索領域限定方法の提案を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
数値実験の計算コストが大きく、平成28年度の部分的成果をまとめた成果発表の多くが平成29年度となった(2件の国際会議、2件の国内学会に発表申し込み済み)。このため、旅費に未消化が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
数値実験環境をハードウェアの面から改善するため、計算機1台の購入を計画している。また、国際会議にて発表する際の旅費とする。
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