本研究は、制約付き最適化問題における進化計算の探索性能を高めることを目的とし、等式制約付き探索空間上の実行可能解のみを無制約な探索空間上の実行可能解へ変換する方法を開発する。進化計算は制約処理を必要としない無制約な探索空間上を探索することで、本方法を通して変換された本来の制約付き探索空間上の実行可能解を得ることができるため、より効果的な探索が可能となる。 平成30年度は、平成29年度に開発した制約付き探索空間の一部を無制約な探索空間に変換する三角関数を利用したモデルを拡張した。 平成29年度に開発したモデルは、大規模大域的最適化問題の分野で注目を集める分解法(進化計算の探索空間を限定もしくは削減する方法)の枠組みを制約付き探索空間上の設計変数のグルーピングに利用することで、高次元の探索空間を複数の低次元の探索空間に分割し、制約付き探索空間の次元数に関わらず無制約な探索空間へ変換できるモデルであった。 平成30年度は、このモデルの有効性の詳細を実験的に検証し、設計変数のグルーピング操作は変数間の依存性を考慮する必要があり、簡易ではないという問題点も明らかにした。この問題を改善するため、平成29年度に開発した三角関数を利用したモデルを、グルーピング操作の必要なく高次元の制約付き探索空間に対応できるモデルへと拡張した。 平成30年度に新たに開発した次元数に関わらず無制約な探索空間へ変換できるモデルと平成29年度に開発した変換可能な次元数が限定されるモデルを比較し、両モデルの有効性を明らかにした。
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