本研究では、発達尺度のタスクのうちで模倣に関連するものを多数行うことのできるエージェントを開発することを目的とした。その際、部分観測マルコフ決定過程(POMDP)理論を用いることによって、どのような模倣を行うべきかをエージェントが判断できるようにするとともに、各タスクの遂行においてどのような情報処理を行えばよいかを、エージェント自身が自動的に最適化できるようにすることを目指した。 前年度までの研究で、ヒトがロボットに対して音声で行って欲しい動作を伝えることや、その動作を実現するために必要な情報処理の最適化をロボットが行うことのできるシステムを作成していたので、本年度はそのシステムの性能評価及び改良、そして成果の発表のために研究を進めた。その結果、他者が描いた図形をロボットが模写するというタスクや、複数の絵の中から言葉で指定された絵を指し示すタスクに関しては、タスク成功率や最適化に必要な時間などの性能評価を行うことができた。また、両方のタスクを一台のロボットに行わせた場合の性能評価も行うことができた。さらに、行わせるタスクが増えると最適化の処理に時間がかかるようになるという問題があったが、これを高速化するために、先読みによる最適化だけではなく、過去の処理結果を学習しそれを活かして最適化を行えるように改良を行うことができた。これらの結果の一部については学会発表を行うことができた。論文発表については年度内に投稿することができなかったが近日中に行う予定である。
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