研究課題/領域番号 |
15K00342
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
斉藤 朝輝 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (60344040)
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研究分担者 |
田村 純一 津田塾大学, 数学・計算機科学研究所, 研究員 (90418905)
安富 真一 東邦大学, 理学部, 教授 (60230231)
山口 明宏 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (60281789)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 真軌道計算 / カオス / 非線形現象 / 擬似乱数 / 代数的数 / p進数 / 乱数検定 / 連分数 |
研究実績の概要 |
我々はあるクラスの力学系(区分的線形写像を含む区分的1次分数写像で表現される力学系)の真軌道を計算する新しい方法を構築した.この方法は,数として整数ベクトルで表現できる代数的数を採用し,計算機で正確に実行できる整数演算のみを用いて,軌道生成を行う点に特長がある.本研究課題では,この真軌道計算を使った非線形現象の解明と真軌道計算の擬似乱数生成への応用とに焦点をあてて研究を行っている. 初年度にあたる平成27年度では,カオス真軌道を使った擬似乱数生成器の構築と,それに関連する連分数の研究を主に行った.カオス真軌道を使った擬似乱数生成器として,以下の2つを構築した. 1. 3次実代数的整数上のBernoulli写像の真軌道を使った擬似乱数生成器 2. p進数体上のBernoulli写像の真軌道を使った擬似乱数生成器(p=2かつ数として2次代数的数を使用) さらに,複数の擬似ランダムビット列を生成する上では,初期点(seed)を一様にとり,かつ,異なる初期点から始まる軌道が交わらないことが望ましいが,この両方を実現する初期点の選択法も開発した.(特に,p進数の一様性に関しては,一般の素数pおよびd>1に関して,Q上d次以下となる初期点をpZ_p上で一様に取ることが可能であることを示した.)さらに,これらの擬似乱数生成器から生成されたビット列の乱数性が良好であることを,NISTの乱数検定を行い確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
真軌道計算の擬似乱数生成への応用に関しては,関連する連分数の研究も含めて順調に研究が進展した.また,平成27年度は,査読付論文誌に1件,国内外の会議に14件の成果発表を行うことができた.以上から,本研究課題はおおむね順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通りに,真軌道計算を使った非線形現象の解明と真軌道計算の擬似乱数生成への応用の研究を遂行することを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
代表者に次年度使用額が生じた理由は,平成28年3月の海外旅費が代表者配当分の残額を超え,本年度分として計上できなくなったため.また,分担者の1人に次年度使用額が生じた理由は,本年度の予算を次年度に配分し,計算機の購入にあてる必要が生じたため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の国内出張1回を取り止め,本年度の海外旅費の不足分にあてる.それ以外の次年度使用額は,分担者のもとでシミュレーションを行うための計算機の購入にあてる.
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