研究実績の概要 |
この研究では,区分的線形写像を含む区分的1次分数写像の真軌道計算の応用として,カオス真軌道を使った擬似乱数生成器の構築と,関連する連分数の研究を主に行った.具体的には,次の研究を行った.1. 3次実代数的整数上のBernoulli写像の真軌道を使った擬似乱数生成器の構築.2. p=2進数体の2次代数的要素上のBernoulli写像の真軌道を使った擬似乱数生成器の構築.3. 1と2それぞれの擬似乱数生成器に関して,以下の意味で極めて良い性質を持つ初期点(シード)集合のクラスの特定.そのクラスに所属する初期点集合Iに関しては,Iに含まれる各要素が全て異なる代数体に所属する.その外にも,Iは,一様性,一般性,各要素の連分数展開の純周期性という性質をもつ.4. 虚2次代数的整数の集合のクラスで,同様の性質をもつものの特定.5. 真軌道を使った擬似乱数生成器を有限状態で近似する擬似乱数生成器の構築.6. p進数体の要素を連分数展開するためのアルゴリズムをいくつか構成し,それらが2次代数的要素に対してだけ周期的展開をあたえることを証明.7. 多次元p進連分数アルゴリズムの構築.8. サブスティテューションとRauzyフラクタルのp進世界への拡張,など.これらの成果は,国内外の会議や専門誌で発表済み,もしくは発表準備中である.特に,論文A. Saito, A. Yamaguchi, Pseudorandom number generator based on the Bernoulli map on cubic algebraic integers, Chaos 28, 103122 (2018)は,掲載されたChaos誌のFeatured Articleに選ばれ,また一般向けの紹介記事がAIP Scilightに掲載された.
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